抄録
結核性髄膜炎の罹患は減少しつつも, なお各施設で治療されている.続発する合併症として水頭症の存在は, 脳CT, MRIの検査で容易に診断され, 比較的急性期に発見されることが多い.一方, 長期間を経て, 脊髄空洞症を来すことはあまり知られていない.今回昏睡をきたし, その後, 回復し, 23年後および22年後に脊髄空洞症を呈し, 発見された2症例を経験したので報告する.なお1例は, MRI普及前に症状が進行し, 著明な脊髄萎縮および空洞が延髄にまで及び不幸な転帰を来した.MRIの普及で早期診断が可能となった現在, この疾患の概念の理解が必要と思われた.