昭和医学会雑誌
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Dubin-Johnson症候群の分子病態
楯 玄秀
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2002 年 62 巻 3 号 p. 169-177

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抄録
DubinとJohnsonは1954年に, 肝臓に由来不明の色素が沈着し慢性特発性黄疸を特徴とする新しい疾患概念を提唱した.この疾患は現在ではDubin-Johnson症候群 (DJS) と呼ばれている.病理組織学的には肝臓にリポフスチン様の褐色色素が沈着しビリルビンの毛細胆管への分泌障害であると考えられていたが, 1997年にDJSの原因遺伝子が明らかにされた.この遺伝子はABCトランスポーターファミリーに属し, 胞合型ビリルビンを毛細胆管へ分泌する機能を持つmultidrug resistance protein2 (MRP2) をコードする遺伝子であった (現在ではATP-binding cassette, sub-family C, member2 (ABCC2) という名称が一般的になりつつある) .DJSの患者数あるいは保因者に比較するとDJSの遺伝子解析は十分には行われていないが, 現在までに, 10種類の変異が報告されている.この総説ではMRP2/ABCC2遺伝子の変異と, それに伴うMRP2異常蛋白質の細胞内動態に関する知見をまとめた.
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