昭和医学会雑誌
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出血性ショックに対する膠質液の効果
―2種類の分子量のヒドロキシエチルデンプン投与による比較検討―
丸田 京子
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2002 年 62 巻 3 号 p. 188-193

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抄録
雑種成犬に出血性ショックを発生させ, 分子量の異なる2種類の膠質液 (HES70群: ヒドロキシエチルデンプン分子量70kDa, HES200群: ヒドロキシエチルデンプン分子量200kDa) を用いて蘇生し, 両者の循環動態に及ぼす効果を比較検討した.塩酸ケタミンによる麻酔導入後, 平均動脈圧 (mAP) が50mmHgとなるように脱血し, そのレベルを30分間維持した.ついで両群に出血量と同量の膠質液を輸液し, 各パラメータの経時的変化を観察した.蘇生後, HES200群のmAP, 平均肺動脈圧 (mPAP) , 肺動脈楔入圧 (PAWP) , 心係数 (CI) , 左室仕事量係数 (LVSWI) , 左室内圧最大変化率 (LVdp/dt max) などはHES70群に比べ安定していた.HES200群の膠質浸透圧 (Pcop) , 循環血液量 (CBV) はHES70群に比べ有意 (p<0.05) に高値を示したが, 晶質浸透圧 (Posm) には両群間に有意差はなかった.以上の結果より, 出血性ショックに膠質液を用いる場合は低分子型よりも中分子型の方が, PcopとCBVの維持による循環動態改善作用の強いことが示唆された.
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