昭和医学会雑誌
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三好型遠位型筋ジストロフイー症の一例―Dysferlin遺伝子異常に伴う早期の近位筋病変―
金子 正和井上 昌彦渋谷 誠二自見 隆弘若山 吉弘
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2002 年 62 巻 4 号 p. 254-259

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抄録

症例は, 初診時18歳の女性. (現在は31歳) 兄が同症.16歳時より階段が登りづらくなり来院.脳神経は正常で躯幹, 四肢では前脛骨筋では軽度腓腹筋で中等度の筋力低下, 腓腹筋の萎縮を認めた.血清CKは約9000 U/I, 筋電図は筋原性変化を, 骨格筋CTでは, 下腿筋優位に低吸収域を, 腓腹筋生検では, 大小不同と散在性壊死線維を認めた.発症3年後 (19歳時) には, 上下肢近位筋まで障害が拡大した。Dysferlin遺伝子のC末端に近いエクソン54番, 第6508番塩基GがAに変化し, コードするアミノ酸トリプトファンがストップコドンに変化していた。三好型遠位型筋ジストロフィー症で発症し早期に近位筋も侵された, いわゆるdistal limb-girdle type muscular dystrophyの一例であり, Dysferlin遺伝子異常によって生じる遠位型筋ジストロフィー症と肢帯型筋ジストロフィー症の関連を示唆する興味深い症例であった.

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