昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
ヒト樹状細胞様株ELD-1細胞のCD8T細胞活性化におけるサイトカインの役割
玉置 聡巌本 三寿石田 良杉崎 慶三中村 健太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 62 巻 5 号 p. 310-320

詳細
抄録
最近Helper T細胞非依存型に細胞障害性T細胞 (CTL) を誘導することが知られているがそのメカニズムはほとんど不明である.我々は, ヒト樹状細胞様株ELD-1がCD4陽性T細胞非依存性にCD8陽性T細胞からのインターフェロン (IFN) -γを誘導することを明らかにし, 性質の異なる亜株を用いて解析を行った.亜株のmRNA発現を比較検討してみたところ, IFN-α, インターロイキン (IL) -1, IL-15がCTLの活性化に関与していることが示唆された.IFN-αを発現していない亜株細胞にヒトリコンビナントIFN-αとT細胞を共培養したところ, 濃度依存的にIFN-γ誘導活性が高まった.更に, IFN-α, IL-1, IL-15の前処理によりIFN-γ誘導活性化が観察されIL-15, IFN-αに相乗効果がみられた.IFN-αはMHC-class I, IL-12, CD80などを増強し増強効果を示すと考えられたが, IL-15は単独, IFN-αとの併用においてもまったく影響せず, 他の機序で相乗効果を示すと考えられた.これより, CD8T細胞のCD4T細胞非依存的活性化経路においてIFN-αとIL-15が大きな役割を担っていると考えられる.
著者関連情報
© 昭和医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top