昭和医学会雑誌
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昭和大学病院2001年におけるβ-ラクタム剤耐性腸内細菌の検出動向
陳 戈林和久田 梨香中島 修宮本 彰俊福地 邦彦
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2003 年 63 巻 3 号 p. 265-272

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抄録

2001年の腸内細菌の検出動向を集計し, 1991年~1992年, 1997年~1998年時と比較解析を行った.Escherichia coliの感受性パターンでは, 1997~1998年よりも1991~1992年のパターンと類似したが, 第三世代セフェム薬耐性のExtended-spectrum beta-1actamases (ESBLs) 産生菌の増加が顕著であり, 今回23株が検出された.Klebsiella pneumoniaeKlebsiella oxytocaの感受性パターンは1997~1998年とほぼ同様で, ESBLs産生菌がそれぞれ19株と4株が検出された.Serratia marcescensは399株検出された.1997~1998年にメタロ-β-ラクタマーゼ産生S. marcescensを疑う検体が約3%分離されていたが, 今回IPM耐性株が42株 (10%) にのぼり, そのうち30株はパルスフィールドゲル電気泳動法でゲノム型が一致したため, アウトブレイクと判断された.終息後耐性率は約3%に低下した.Enterobacter cloacaeは417株, Enterobatter aerogenesは144株分離され, ABPC, CEZおよびCMZに高率で耐性を示した.今回の調査で, カルバペネム系に耐性のS.marcescensは最近5年間で一定の比率を保っていたが, E. coliK. pneumoniae, K. oxytocaのESBLs産生菌の増加が明らかとなった.

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