昭和医学会雑誌
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醤油に添加された魚類抽出物による口腔アレルギー症候群が強く疑われた1例
鈴木 慎太郎中村 陽一
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2007 年 67 巻 1 号 p. 87-91

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抄録

症例は31歳の女性.夕食に寿司を食べていた最中, 顔面の痒み, 口唇の腫脹や喉頭の掻痒感, 閉塞感を自覚したため精査目的で当科を受診した.花粉症の既往がある.当初, 寿司の魚肉アレルギーもしくは醤油の原材料である小麦や大豆に対するアレルギーによる口腔アレルギー症候群を疑った.しかし抗原特異的IgE検査で調べた食餌抗原は全て陰性であり, 大豆, 小麦粉など醤油の主要成分は皮膚試験でも陰性だった.そこで実際に摂取した醤油の材料を取り寄せ, 各成分そのもので皮膚試験を行い, カツオ抽出物で強陽性を認め, カツオなど魚肉由来の醤油添加物が口腔アレルギー症候群の原因ではないかと強く疑った.市販の醤油の中には風味付けのため「だし入り」と称し, 魚肉抽出物が添加されている場合がある.小型の個別包装にはアレルギー成分表示義務がないため, こうした添加物の記載がないことも多く, 食物アレルギーの既往がある患者では指導上注意が必要である.

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