生体医工学
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抄録
予測モデルを用いたエアコン音の聴感印象評価
矢野 肇滝口 哲也有木 康雄神谷 勝中川 誠司
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2017 年 55Annual 巻 3AM-Abstract 号 p. 187

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抄録

近年,脳活動計測に基づく印象評価の方法が提案されており,脳活動指標を用いた印象評価は心理的バイアスの低減や,意識下の印象をも評価できる可能性が期待されている.本稿では,エアコン音の涼しさ,および好ましさといった聴感印象を対象として,エアコン音聴取時の脳活動からそれらの印象を予測するモデルを構築した.まず,刺激音としてエアコン音に時間変動を付与した刺激音を複数作成し,これらの刺激音聴取時の脳磁界を計測した.被験者には刺激音を2つずつ対にして呈示し,刺激対に対する涼しさ,および好ましさの比較判断も同時に記録した.次に,計測された脳磁界から時間-周波数特徴を抽出した後,非負値テンソル因子分解を用いて脳領域,時間ごとの周波数律動を表現する低次元の脳活動特徴量を抽出した.脳活動特徴量と刺激対に対する比較判断から,エアコン音の涼しさ,および好ましさの尺度値を予測するモデルを,回帰モデルおよびサポートベクターマシン(SVM)に基づくモデルを用いて,被験者ごとに構築した.構築したモデルの性能を一対比較判断予測の正解率によって評価した結果,SVMに基づくモデルのほうが回帰モデルよりも高い予測精度を示し,このモデルが予測モデルを用いた脳活動からの聴感印象の予測に有用であることが示された.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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