2017 年 55Annual 巻 3AM-Abstract 号 p. 188
本研究は視覚刺激に伴う情動を定量的に評価するために聴性定常応答(ASSR)を用いて、その関連性について検討することを目的としている。情動刺激として国際的に多く使用されるInternational Affective Picture Systemを用いた。刺激画像は覚醒価に制限を設けず、情動価で評価された3分類のNegative(不快)、Neutral(中性)、Positive(快)画像をそれぞれ80枚使用した。ASSRの誘発には、チャープ音(100Hz-10kHz)、音圧55dB、刺激頻度40回/sを両耳呈示した。実験に際して、1ブロック3秒(Rest 1秒(コントロール画像と無音)、刺激時間2秒(刺激画像とチャープ音同時呈示))を240回繰り返し、刺激画像はランダムに呈示した。EEG計測は国際電極配置法に基づき、磁気シールドルーム内で行った(被験者7名)。各情動価間に対する40Hz成分を比較するために解析を行った。解析部位にはCzを使用した。信号処理ではASSRデータを各情動価の枚数(80枚)で加算平均を行い、デジタルBPF(38-42Hz)を介し、包絡線の抽出にヒルベルト変換を用い、刺激区間(2s)で平均した。その結果ASSR平均値は、中性より不快の方が有意に大きな振幅が得られた(n=7、p<0.05)。ASSR振幅が中性及び不快画像間において定量的評価の指標となる可能性を示唆する。