生体医工学
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抄録
三次元神経活動記録のための積層尖鋭化シリコン神経プローブアレイの開発
原島 卓也森川 拓実木野 久志福島 誉史片山 統裕虫明 元田中 徹
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2017 年 55Annual 巻 3AM-Abstract 号 p. 189

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神経回路網の研究では三次元的に高密度で配置された記録電極を有する神経プローブを用いた神経活動の解析が有効である。これまでに三次元的に記録点を配置した神経プローブはいくつか報告されているが、電極密度や加工精度に限界がある。今回、我々は三次元神経活動記録のための積層尖鋭化シリコン神経プローブアレイについて報告する。このシリコン神経プローブアレイは4本のシャンクを有する3つの単層プローブを2つのスペーサを用いて熱圧着で積層したもので、12本のシャンクと三次元的に配置された156の記録電極を有している。脳刺入による細胞損傷を低減させるために、積層後のSiの異方性エッチングによってシャンクの断面形状を四角形から三角形にして断面積を減らし、刺入後の脳への圧迫を低減している。また、シャンク先端を尖らせることで刺入に必要な力や脳の変形も同様に低減している。本神経プローブアレイは半導体微細加工技術を用いて作製しているため、高い電極密度と位置合わせ精度を実現している。試作した積層尖鋭化シリコン神経プローブアレイの刺入特性を評価したところ、尖鋭化していないものに比べて優れた刺入特性を示すことを確認した。積層尖鋭化シリコン神経プローブアレイは三次元的に高密度で配置された記録電極と優れた刺入特性を有しており、神経回路網の解明や神経生理学の発展に大きく寄与するものである。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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