生体医工学
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抄録
細胞シート技術を用いたヒト立体心筋組織構築
坂口 勝久戸部 友輔中園 一紀清水 達也梅津 光生
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2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 202

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抄録

単離された心筋細胞から拍動する立体的な心筋組織への構築は新たな再生医療や薬剤スクリーニングへの応用として注目されている。本研究では、温度に応答して細胞脱着可能な培養皿を用いて細胞をシート状に形成し、その細胞シートを積層化することによって心筋組織の構築・移植を試みている。現在、細胞シートは角膜、心臓、食道等の損傷に対する細胞治療として臨床応用まで到達している。細胞シート治療を更なる効果向上を目指すため、短時間で多層(5~15層)に積層し、移植後の血管新生を促進させる方法を考案した。具体的な手法として、極めて微量の生体接着剤(フィブリン)を塗布し、さらに力学的な負荷を与えて、積層時間を数分間に大幅加速する手法である。これにより、従来手法では細胞シートを積層するのに約1時間を要していたところを5分以内の積層が可能となった。積層時間の大幅な短縮により再生立体組織を移植可能となるため簡便かつ安定的に組織を提供でき、また細胞同士の接着が脆弱で積層できなかった細胞種(肝細胞、内皮細胞)が積層可能で今までに無かった細胞種の組み合わせによる新しい細胞シート治療が提供できる。本発表では、短時間に組織構築する手法、構築した心筋組織の移植結果を報告する。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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