2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 206
本稿では,ホルター心電計のデータを基に, ビッグデータ解析を見据えた心疾患リスク指標としてT波オルタナンス(TWA)とT波変動(TAV)を自動解析する手法を提案する.現在,日本において,年間約7万6千人の人が心臓突然死により死亡しており,年々増加傾向にある. このような状況にあって,心疾患リスクを評価することは重要であり, 多くの研究がある. さらに,ウェアラブル端末の普及に伴い,日常的に心拍データを取得し,クラウドに送信をし,自動でリスク評価をすることが可能となりつつある. しかし, ノイズや不整脈の処理が技師や医師による経験的に行われているため,評価が左右してしまうなどの問題点がある.そこで本稿は,351人の心電図を基に,効率的な自動アーチファクト処理を相関係数,RMSを用いて行った.その後,新たなリスク指標としてTWAP,TAVPを用いた. 心臓血管死を含む発症後の死亡,左室駆出率を比較する要因とし,比較及び検定を行った.その結果, 左室駆出率40%以上の患者と左室駆出率40%未満の患者において,TAVPに有意差(p < 0.05)が見られた.また, 心臓血管死を含む発症後の死亡の患者において,TAVP,TWAP共に有意傾向(p < 0.1)が見られた.本手法はリアルタイムで計測した心電図データをクラウド上でリスク評価することを可能とし,将来のユビキタスヘルスケア分野に役立つと考えられる.