生体医工学
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抄録
多チャンネルfNIRSにおける計測雑音の制御と平準化
山田 亨梅山 伸二鴨志田 敦史
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2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 216

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多チャンネルfNIRS計測においてチャンネル間で計測雑音の大きさが非常に異なることは、1) 計測雑音の大きなチャンネルでのS/N比を低下させ、2)PCA,ICAなど多チャンネルデータ全体を用いる解析に著しい悪影響を及ぼし、さらに、3)チャンネル間統計比較を原理的に不可能にする、などの諸問題の原因となっている。我々は今までに、こうした計測雑音の生成機序をモデル化し、プローブ装着不良を効率よく検出する手法を開発した (Umeyama, 2013)。今回は、各チャンネルの雑音分散を制御し、チャンネル間でこれを平準化するための体系的手法について報告する。 fNIRSの計測雑音は主に検出雑音に由来し、その見かけの大きさは当該チャンネルの観測光量に依存して決まる。我々は照射光路及び検出光路にそれぞれ光減衰器を設けることによって観測光量を制御できる多チャンネルfNIRS装置を試作した。毛髪ファントムを用いて、チャンネル毎に計測雑音が異なる状況を人為的作り出し、光減衰器の体系的制御を行う前後でのチャンネル間の計測雑音の差異を比較した。その結果、光減衰器の制御によってチャンネル間の計測雑音は平準化できることが原理的に検証された。さらなる高度化によって将来的にプローブ装着時の毛髪掻き分け作業を不要とするfNIRSシステムの実現を目指す。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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