生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
抄録
上腕二頭筋の固有周波数と筋収縮レベルの関係
大倉 彩葵内山 孝憲
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 55Annual 巻 4AM-Abstract 号 p. 254

詳細
抄録

筋の軸方向の固有周波数は,収縮方向の弾性を反映するが非侵襲的に計測することが難しい.一方,筋の径方向の固有周波数は,筋緊張計を用いて,非侵襲的かつ容易に計測できる.そこで,本研究では関節トルクと,筋緊張計を用いて筋振動を計測し,筋の軸方向と径方向の固有周波数を求め,軸方向と径方向の固有周波数の関係を明らかにして,筋緊張計を用いて筋の収縮方向の固有周波数を推定することを目指す. 安静時から100%MVCまで10%刻みで力を変化させ,電気刺激による誘発トルクと,筋緊張計を用いて筋振動を計測した.誘発トルクと筋振動を2次と4次モデルでそれぞれシステム同定し,伝達関数の極から固有周波数を算出した.固有周波数を2乗し,筋収縮レベルとの関係を調べた.トルクについては,70%MVC以上で,筋の収縮方向の固有周波数を算出できなかったことから,60%MVCまでの固有周波数と筋収縮レベルの関係を調べた.誘発トルクの固有周波数と筋振動の低い固有周波数は筋収縮レベルの増加に伴って増加した.このとき,回帰直線の傾きは,有意水準5%で有意に0から偏っていた. 筋の軸方向と径方向の固有周波数はどちらも筋収縮レベルに対して線形に増加した.この関係から筋の径方向から軸方向の固有周波数を算出できると示唆された.

著者関連情報
© 2017 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top