生体医工学
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抄録
組織性状推定のため双方向超音波加振における組織応答の周波数特性に関する検討
渡辺 諒一瀧 宏文金井 浩
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2017 年 55Annual 巻 4AM-Abstract 号 p. 257

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抄録

病変が進行するとともに生体組織の硬さが変化するといった報告がされている。従って、組織の硬さの定量的計測は病変の存在やその進行度を知る指標となるといえる。本研究では筋組織を対象とした粘弾性特性の非侵襲かつ定量的な計測方法の開発を目的としている。周波数が僅かに異なる2つの連続正弦波信号を重ね合わせた超音波を対象物に双方向から照射し、発生する音響放射圧によって対象物を振動させる。この組織の振動の変位を解析することによって粘弾性の推定を目指す。本報告では設定する差の周波数の値を変化させることによる振動振幅への影響を生体組織を模擬したファントムを対象物として実験し、考察した。対象物変位の計測にはレーザ変異計を使用した。結果としては差の周波数10Hz~200Hzの範囲で変位のパワースペクトルが-40dB/decadeの傾きを持って減衰することが確認された。これは対象物の粘弾性モデルを適切に選択し、超音波加振による圧力周波数特性を考慮することにより応力-ひずみ関係を証明することができ、それぞれの特性から得られたパラメータから弾性と粘性を推定できる可能性をもつということを示唆している。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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