生体医工学
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抄録
簡易脳波計を用いたERD計測システムの開発
竹原 大貴栢沼 一修松原 未来関 直人和田 賢弥倉田 雅哉小野 弓絵
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2017 年 55Annual 巻 4AM-Abstract 号 p. 318

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抄録

簡易脳波計を用いた事象関連脱同期(Event-related desynchronization: ERD)計測システムの開発を行った。ERDとは運動の想起により一次運動野のμ波帯域活動が減衰する現象をさす。ERDを応用する従来のBrain-machine interface (BMI) 技術では医用脳波計が主に使われているが、高価であり普及しにくい。近年、Emotiv Epocに代表される低コストの簡易脳波計が市販されているが、精度に問題があるとする報告も散見される。本研究では、簡易脳波計と医用脳波計の同時計測を行い、簡易脳波計が医用脳波計と比べてどの程度の精度をもつのかを調べた。手に自覚する運動障害のない若年成人11 名が実験に参加した。被験者は椅子に座り、ボールの掌握を行う手の運動の動画を観察しながら、動画と同じように手の運動想起を行った。簡易脳波計に装着する電極アームを3Dプリンタで作製し、簡易脳波計と医用脳波計の頭表電極1個ずつを運動野の直上に隣り合って配置させて脳波を記録した。ボールを握る運動想起時、手を開く運動想起時のいずれにおいても、簡易脳波計と医用脳波計では同等のERD強度が確認できた。したがって、ERD計測の用途に限定すれば、低コストの簡易脳波計は医用脳波計の代用としてBMIへの実装に十分な脳波の検出が可能であると考えられる。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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