生体医工学
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抄録
乳がんセンチネルリンパ節生検に用いる永久磁石型磁気プローブの空間分解能の評価
桑波田 晃弘隣 真一金子 美樹塩澤 幹雄武井 寛之中村 清吾中川 貴之佐伯 亘平斉藤 逸郎日下部 守昭関野 正樹
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2017 年 55Annual 巻 5AM-Abstract 号 p. 390

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抄録

乳がんのセンチネルリンパ節生検において,磁気トレーサーならびに磁気プローブを用いた手法は,現在の標準手法であるラジオアイソトープ法にとって代わることが可能な新手法である.乳がんのリンパ節(腋窩リンパ節:大きさ5-20 mm程度)同士は房状に近接しており,1つのセンチネルリンパ節を同定するためには,5 mm以下の空間分解能を持った磁気プローブの開発が求められる.本研究の目的は,高精度アクチュエータを用いた空間感度分布計測システムによって,永久磁石を用いた磁気プローブの空間感度分布特性を明らかとし,連なった複数のリンパ節から1つのセンチネルリンパ節同定が可能なことを実証することである. リンパ節内に取り込まれる磁気トレーサーを模擬したファントム(磁性流体:リゾビスト,5 μL)に対して,開発した磁気プローブの長さ方向の検知距離は約8 mmであり,半値幅により評価した横方向の空間分解能は約4 mmであった.また,上記のリゾビストファントムを横方向に4 mm離した位置に配置した2つのリゾビストファントムに対して,プローブの長さ方向1 mm以内の範囲において,磁気プローブを用いて2つのファントムを区別できることを実証した.したがって,永久磁石を用いた磁気プローブは,複数のリンパ節から1つのセンチネルリンパ節を同定できると考える.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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