生体医工学
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抄録
転移偽陰性リンパ節に対するMRI・超音波画像診断による腫瘍検出能の評価
菊池 凌平堀江 佐知子阪本 真弥森 菜緒子森 士郎小玉 哲也
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2017 年 55Annual 巻 5AM-Abstract 号 p. 408

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抄録

がん患者の死因の9割は転移に起因する. リンパ節転移は遠隔転移を引き起こすため, 重要な予後因子とされ, 適切な診断が求められる. 臨床では, CT・MRI・超音波画像診断によりリンパ節の大きさや形状から転移の有無を判断する.サイズや形状に変化のないリンパ節は臨床的リンパ節転移陰性(N0)とされる. 現行の画像診断ではN0リンパ節の微小転移を見逃す可能性がある. よって, 転移偽陰性リンパ節の腫瘍検出可能な診断指標の開発が喫緊の課題である. 本研究では, MR画像診断(T2強調像)と高周波画像診断装置(25MHz, B-mode 画像)による転移偽陰性リンパ節の腫瘍検出能評価を目的とする.全身のリンパ節がヒトと同等の大きさに腫脹するMXH10/Mo-lpr/lprマウスとルシフェラーゼ発現がん細胞を用いてリンパ節転移偽陰性マウスモデルを作製した. 転移偽陰性リンパ節(false-negative N0)の生物発光画像・MR画像・超音波画像・病理像を取得して比較検討した. 生物発光画像でルシフェラーゼ活性が確認された転移偽陰性リンパ節のMR画像と超音波画像では, 病理像で確認された腫瘍巣周辺での高輝度部は確認されなかった. 本研究からMRIと超音波を用いて転移偽陰性リンパ節を診断することは現実的ではないことが示され, 画像診断法に依存しない早期転移リンパ節に対する特異的な診断法・治療法開発の必要性が示唆された.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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