2013 年 54 巻 3 号 p. 273-278
症例は生後3か月,7か月発症の乳児急性リンパ性白血病の男児2例。第1寛解期にbusulfan,etoposide,cyclophosphamideを前処置として非血縁者間臍帯血移植を行った。生着日は,それぞれday 17,day 15であり,急性GVHDは共に認めなかった。それぞれday 25,day 30に肺水腫を発症したが,体液コントロールにより改善した。しかし,その後それぞれday 37,day 59に呼吸障害を伴う肺水腫を再度発症した。発熱・咳嗽はなく,ステロイド治療を開始した。翌日には,呼吸状態は著しく改善し,以降は再燃もみられなかった。症状及び経過からはIdiopathic pneumonia syndrome (IPS)の範疇に入る疾患と考えたが,IPSの既知の概念での分類は困難であり,乳児白血病に対する臍帯血移植に関連した合併症である可能性も考えられた。