生体医工学
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抄録
乳房再建術中支援システムにおける自動レジストレーションソフトウェア
柳沼 ひかる中野 祐樹鈴木 孝司千葉 慎二鷲尾 利克矢野 智之清水 大輔荒船 龍彦
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2017 年 55Annual 巻 5AM-Abstract 号 p. 437

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抄録

乳がんの治療法として,乳房切除術がある.その際,患者のQOLの確保や整容性の観点から,乳房再建術が同時に実施されることが多い.しかし,乳房形状の整容性は,医師による主観的評価が主流であり,定量的評価手法は未だ十分に確立されていない.また,再建術中に局所の定量的な形状差情報を可視化する術中ナビゲーションシステムは開発されていない.本研究室では,乳房再建術中における課題を踏まえ,Kinect V2(Microsoft社)を用い,計測した3次元情報を活用し,乳房切除術前と再建術中における局所の形状差を定量的に導出,可視化し術者に定量的な情報をフィードバックするシステムを開発している.また,その情報を患者体表面にプロジェクションマップとして投影するシステムを開発している. しかし,術前,術中の形状差情報の導出までは実装しているが,再建術中に用いるプロジェクションマッピングのレジストレーションは,手動で行っており,時間を要し,精度にもばらつきが生じるという課題があった.そこで本研究は,乳房再建術中支援システムの手動操作プロセスを極力排し,短時間でプロジェクションマッピングを用いた術中支援を実現するレジストレーションソフトウェアの開発を行った.本ソフトウェアを用いた場合と従来通り手動でのレジストレーション評価実験を行った.本ソフトウェアを用いることで,レジストレーション時間が64.3%減少し,生じた誤差においても47.6%~70.3%減少したことを報告する.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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