生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
抄録
マイクロ円柱スリットを用いた細胞の変形性の測定
高橋 優輔日野 遥橋本 成広
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 55Annual 巻 5PM-Abstract 号 p. 451

詳細
抄録

iPS細胞や幹細胞は様々な組織の細胞に分化する能力を持つ細胞である.分化後に組織の細胞毎に分離する必要がある.しかし,既存の方法では細胞に染色などによってマーカーをつける方法が一般的であり,マーカーによって細胞の性質に変化が起こる可能性がある.そこで,染色フリーの細胞分離技術への応用を目的に細胞の変形性に着目した.初めに,フォトリソグラフィ技術によって,円柱状のマイクロパターンを4列に作製した.円柱間の隙間幅は列ごとに25,20,15,10 μmとした.流路実験の前に酸素プラズマ処理を行い,流路内を親水化処理した.続いて,タンパク質の特異的接着を阻害するために,4%ウシ血清由来アルブミンを流路内に満たし,1時間コーティングを行った.細胞はC2C12とHepa1-6を用いた.両細胞ともD-MEM基礎培地にFBSとP/Sをそれぞれ10%,1%添加した培地を用いて培養を行った.培養した細胞をトリプシン処理によって剥離させ,細胞懸濁液を作製した.マイクロピペットにより,60 μlの細胞懸濁液を入口出口の圧力差を用いて流路内に導入した.位相差顕微鏡にデジタルカメラを設置し,動画撮影を行った.撮影した動画から細胞の速度,面積を算出した.結果,C2C12,Hepa1-6ともに細胞の直径と通過するまでの時間に相関が見られた.また,C2C12に比べてHepa1-6はスリットを通過するまでの時間が長かった.

著者関連情報
© 2017 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top