生体医工学
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インプランタブルデバイスに向けたプリンテッドナノ薄膜の開発
藤枝 俊宣
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2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S138

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抄録

再生医工学・ロボティクス・情報通信の進展により、21世紀の医療では生体-人工物の統合が実現しつつあり、細胞治療・ブレインマシンインターフェース・テーラーメイド医療などの革新的な医療技術が提唱されている。これらの先進技術を実社会で安心・安全に利用するためには、生体特有の化学的・物理的・機械的性質に馴染む生体-材料界面の設計が重要となる。このような背景のもと、我々のグループでは数十~数百ナノメートルの膜厚に対して、数平方センチメートル以上の面積を持つ自己支持性高分子ナノ薄膜(ナノシート)を調製し、ナノシートの超薄構造に基づく柔軟性と接着性を明らかにしてきた。また、この接着特性を創傷保護材に応用することで、粘着剤を用いることなく生体組織表面に貼付可能なバイオマテリアル(ナノ絆創膏)を構築した。本研究では、インプランタブルデバイスに向けて、電子素子(例:導電配線, 電極, ICチップ, LEDチップ)を生体内部にシームレスに導入するためのナノシートの開発を目的とした。具体的には、柔軟性と接着性を有するナノシートと印刷技術(グラビアコーティング・インクジェット)を融合させることで、導電配線や電子素子を印刷・担持可能な「プリンテッドナノ薄膜」を創製した。さらに、このようなナノシートからなるインプランタブルデバイスを用いて、脳内の神経活動電位の計測や局所的な光照射による光線力学療法を試みたので報告する。

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© 2018 社団法人日本生体医工学会
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