生体医工学
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ペンドラムテスト開始時における大腿部動揺の下腿部運動波形への影響
楠原 俊昌中村 隆夫道西 博行軸屋 和明山本 尚武岡本 卓爾
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2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S188

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抄録

座位で行うペンドラムテストの初期において、大腿部には下腿部支持の解除にともなうその微小上昇が引き金となって、一種の動揺が発生し得る。本研究では、この動揺の下腿部運動への影響をシミュレーションにより解析している。大腿部の屈曲は一般に腸腰筋の粘弾性に支配されるが、この動揺は腸腰筋の他に被験者が座る椅子の抗力にも支配される。そこでこの動揺を制御する要素として、大腿部が椅子に接近するほど大きくなるような粘弾性素子を導入している。さらに、下肢全体のふるまいは、この粘弾性素子を用いて構成した大腿部運動のサブモデルと既存の下腿部運動サブモデルから、2重振子としてモデル化している。大腿部の運動と下腿部の運動をこのモデルにより解析した結果、下腿部運動の角加速度波形からは、実測した波形と同様の微小かつ非線形な動揺が観測された。また、この動揺の振幅は、大腿部上昇の程度が大きいほど、また、痙縮患者の亢進度が高いほど、大きくなった。今後の課題は、実測した波形からこの動揺を除去する方法を検討することである。

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© 2018 社団法人日本生体医工学会
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