2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S193
近年高齢化や女性の社会進出の増加が進み、肉体的に負担が掛かる作業への対策が求められている。医療や福祉の現場でもその傾向は同様でありサポート器具の開発への関心が高い。肉体的負担が掛かる作業には力を使う作業と同じ姿勢を維持する作業があり、前者に対してはパワーアシスト機器などの開発が進んでいるが、後者は前者に比べ対応する機器の開発は遅れているのが現状である。そこで本研究では、後者の姿勢維持作業、特に上肢拳上作業による上肢の負担を軽減する補助装置である上肢サポート装具の開発を目的とした。この開発する装置は上肢を任意の位置で保持することが重要で、その実現のために我々が開発してきたEAMという機能性材料に着目した。EAM (ElectroAttractiveMaterial)とは分極しやすい微粒子をシリコーンゴムで固めた機能性材料でこれを電極で挟み電圧を印加すると電極とEAMの間に吸引力が発生し電極をスライドさせると剪断抵抗力が発生する。さらに、この抵抗力は印加電圧により調節が可能であることも分かっている。我々は、この印加電圧により調節できる剪断抵抗力を利用したEAMブレーキを開発してきた。本研究で開発する装置では、腕の運動が肩を中心とした回転運動であることからEAMブレーキを肩に設置することで、腕を支えることができる構造とした。今回この基本構造を基に、両肩にEAMブレーキを設置し、両腕を任意の位置で保持しつつ作業が可能な装置を開発した。