2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S196
脳卒中などにより片麻痺となった患者のリハビリテーションでは,歩行能力回復のための段階の一つとして,麻痺側への荷重能力の獲得が重要になる.現在,臨床で行われている荷重能力の評価法は,立位姿勢での体重計による計測や,歩行動作での理学療法士らの目視による観察が中心であり,立位状態と歩行状態を一貫して客観的・定量的に評価する方法は確立されていない.そこで本研究では,体重心の位置に着目した.足部位置に対する体重心の位置を推定することで,前後左右への荷重の推移を観測できることが期待される.これまで我々の研究グループでは,慣性センサを用いて,歩行中の運動を計測するシステムを構築してきた.本研究は,このシステムを用いて体重心位置を推定する方法の開発を目的とした.本報告では,はじめに体重心位置の推定に適したセンサ取り付け位置の検討を行なった.その後,決定したセンサ位置において立位姿勢における左右への荷重動作と歩行動作を計測し,推定した体重心位置軌跡の精度について検討し,実用的な推定精度の実現に向けた課題の抽出を行なった.