2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S246
研究者のライフイベントについて考えると、若手研究者間の情報交換においては、結婚、出産・育児とそれにともなう研究生活の変化がよく話題に上がる。筆者らは2子の育児中の若手研究夫婦であるが、子供の誕生というライフイベントで研究生活が変化したことがライフイベントと共生する研究生活という考え方を意識する契機となった。これは育児期間中に以前の研究専従時間を維持することに拘泥するより、互いに時間は減っても二人ともが納得できる研究時間を確保できるよう、夫婦で研究生活の変化を積極的に受容しようという意識変革である。筆者らの場合は、研究時間の生産性を意識することや学会発表や調査出張のスケジュールはお互い尊重するという姿勢を持つことで、現在に至るまで双方納得できる研究生活を送ることが出来ている。実践にはスケジュールの共有や便利家電の導入、外部保育サービスの利用(特に病児保育)もその役割を担った。
出産・育児については研究時間の制限といったネガティブな印象が先行するが、男女共同参画の観点からは、若手研究者が明るい希望を持って出産・育児というライフイベントを迎え、そして無理のないワークライフバランスで研究生活を送ってほしいと願っている。本シンポジウムで筆者らの体験談などを伝えることで、生体医工学分野で活躍中の若手研究者の参考になれば幸いである。