生体医工学
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モノピボット遠心血液ポンプのインペラの流路の出口角と断面積が血液適合性に与える影響
西田 正浩後藤 大輝迫田 大輔小阪 亮丸山 修百武 徹山本 好宏桑名 克之山根 隆志
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2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S29

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抄録

モノピボット遠心血液ポンプのインペラの流路の出口角と断面積に着目し,それらがポンプの血液適合性に与える影響を数値流体力学解析により検討した.まず出口角の異なるインペラのモデルを比較し,次に流路の本数または断面積が異なるインペラのモデルを比較した.数値流体力学解析には,有限体積法に基づく市販の3次元流体解析ソフトを用いた.作動流体は,血液をニュートン流体に近似し,比重1.05,粘度3 cPとした.乱流モデルにはk - εモデルを用い,スライディングメッシュ法による非定常解析を行った.解析条件は,ポンプ入口流量とインペラの回転数を変数とし,体外循環を想定した条件に注目し,血液適合性を示す,ポンプ内の血液の損傷係数とピボット周りの壁せん断応力5 Pa以下のよどみ部の表面積を算出した.その結果,まず出口角が小さくなると,流路出口付近の高せん断域が解消されるため,ポンプ内の血液の損傷係数は低下した.ところが,洗浄孔流量が減少するため,ピボット周りのよどみ部の表面積は増加し,抗血栓性の低下が予測された.次に流路の本数または断面積が増えると,流路内の流速が減少し,流路出口付近の高せん断域が解消されるため,ポンプ内の血液の損傷係数は低下した.また,洗浄孔流量が増加するため,ピボット周りのよどみ部の表面積は減少し,抗血栓性の向上が予想された.ただし,その抗血栓性は裏羽根の数にも依存した.

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© 2018 社団法人日本生体医工学会
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