2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S95
がん患者のセンチネルリンパ節生検において,磁気ナノ粒子を用いた手法は,現在の標準手法である放射性同位体を用いた手法にとって代わることが可能な新手法であり,センチネルリンパ節へのがん転移の存在を評価するための低侵襲の手法である.センチネルリンパ節生検では,複数のリンパ節(様々なサイズ:3ー20 mm,様々な磁気ナノ粒子分布)が摘出される.磁気ナノ粒子を最も多く含む第1のセンチネルリンパ節(がんが転移する可能性が最も高いリンパ節)を決定することは転移診断において有用であり,分布およびサイズに依存しない正確な定量化が必要である.本研究では,リンパ節内の磁気ナノ粒子の量(鉄量)をそれらの依存性なしに定量化できる装置を開発した. 本装置の検出限界は,0.28 マイクログラム(SN比5)であり,ダイナミックレンジは0.28 マイクログラム―2.8 ミリグラムである.リンパ節のサイズや,リンパ節内の磁気ナノ粒子分布に依存しない検出を達成するために,AC磁場とDC磁場の比率を最適化した.現在,10%の誤差の範囲内で,様々な磁気ナノ粒子分布を有する3―20mmの大きさのサンプル内の鉄量を定量化可能である.今後は,臨床試験において,本機器の有用性を証明する予定である.