生体医工学
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受動送液機構を用いた皮膚貼付型熱中症検知デバイスの開発
篠田 直樹宮林 駿岩瀬 英治藤枝 俊宣岩田 浩康
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S164_2

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抄録

汗中に含まれる電解質などの化学物質を連続的に計測することで症状の早期発見を目的とした健康モニタリングデバイスへの関心が高まっている.我々はこれまで皮膚貼付型汗中イオン計測デバイスの開発を目的とし,ISFETを用いた小型軽量な低消費電力回路設計技術を構築してきた.しかし,汗に直接センサを押し当てて測定する場合,不純物の混入や気化によって濃度が高くなるという問題がある.そこで本研究では,マイクロ流路を用いて汗の吸上げから排出までを受動的に行い,その過程でイオンを計測可能な皮膚貼付型電子デバイスの開発を目的とする.上記目的を実現すべく,流路には親水性の高い材料を使用した.また,マイクロ流体は層流であり,電解質などの物質は拡散の影響を受けやすい.よって,吸上げ上部の流路壁面の一部をISFETに置き換え,測定結果に拡散の影響が生じないようにした.上記設計の有用性を検証すべく,人工汗液を流し,溶液の先端位置と経過時間の計測を行った結果,溶液は親水性面による界面張力を受け受動的に流動した.また,溶液の濃度を変化させたところ,濃度変化後,約12秒の遅れは生じるが変化を測定できた.よって,汗イオン濃度計測が有用である可能性が示唆された.

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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