生体医工学
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Annual57 巻, Abstract 号
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  • 日本生体医工学会編集委員会
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. I1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
  • 日本生体医工学会
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. P1-P99
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
  • 山川 烈
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S1_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

     生体医工学は異分野融合の学問である.これに関する研究を推進するには,プロジェクト研究であれ個人研究であれ,一人の研究者が特定の専門分野に精通しているだけでは不十分で,できるだけ他の多くの分野に精通しておくことが望ましい.そのためには,研究者個人に潜在する多くの分野での才能(タレント)に,出来るだけ早く気づき,開花させることが必要である.人は誰しも,一つの分野に精通してしまうと,そこから一歩踏み出して新しい分野に踏み込むことを躊躇する.それは,相当の勇気とエネルギーを必要とするにもかかわらず,それに見合った成果が保証されていないからである.さらに,高齢になって異分野に踏み出すことは,それまで築いた地位・プライドが邪魔をする.しかし,若い研究者には受け入れやすい戦略である.演者がこれまで半世紀に渡って辿ってきた道を振り返りながら,自分に潜在するマルチタレントの一発掘手法を,生体医工学を目指す若手研究者にお伝えできれば幸いである.

  • 永岡 隆
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S1_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    対象物の位置情報と波長情報を同時に計測可能なハイパースペクトラルイメージング技術を用い、我々は皮膚のスペクトル解析に取り組んでいる。皮膚にはメラニンやヘモグロビンなどの色素分子が含まれている。一般的なデジタルカメラでは計測できない、それら色素分子の分布や濃度情報を含む拡散反射スペクトルをハイパースペクトラルイメージャによって解析することによって、皮膚表面や内部の情報を詳細に観察することができる。本講演ではハイパースペクトラルイメージング技術の概要と、その皮膚科学への応用、またディープラーニングなどを含む各種スペクトル解析技術について紹介し、応用分野の一例として、メラノーマの自動診断支援システムの開発などについて報告する。

  • 根本 充貴
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S2_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    人工知能・機械学習の技術は,自動運転やボードゲームの自動対戦,自然言語処理,個人認証といった様々な分野で盛んに研究・開発がなされている.特に昨今のDeep Learningの世界的な流行によって,これらの研究は急速に発展している.医療でもその流れは同様だが,特に医用画像処理・画像診断支援の研究においては,1980年代の乳房X線画像の診断支援システムに関する研究を皮切りとして人工知能・機械学習の応用の歴史は長く,臨床実用化された例も少なくない.本公演では,私どもの研究開発の成果からいくつかの医用画像処理・画像診断支援システムを具体例として取り上げ,それらの詳細について,特にどのような人工知能・機械学習が用いられているか,あるいはどのように応用されているかについて,重点的に解説する.また,実際に画像診断支援システムを研究・開発する上での難しさなどにも触れる.

  • 原口 亮
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S2_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    画像工学は生体医工学領域で重要な位置を占めている.専門別研究会「生体画像と医用人工知能研究会」では,機械学習アルゴリズムが深化する中での生体医用画像応用における特有の課題を扱うと共に,生体医用画像の入口と出口すなわち生体イメージング・グラフィクス・ヒューマンインタラクションに関する研究を合わせて深化させることを目標としている.本研究会の活動を紹介するとともに,生体医工学領域における生体画像と医用人工知能の新潮流について概観する.続けて,生体画像研究の例として,動き続ける臓器である心臓を対象として空間情報・時間情報・機能情報を安定的に取得する取り組みについて,主に医用画像工学の観点から概観する.また計算科学に基づく心臓シミュレーション研究と生体医用画像研究との連携についても紹介する.

  • 小野木 真哉, 長尾 吉泰, 赤星 朋比古, 副島 雄二, 江藤 正俊, 橋爪 誠
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S3_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    超音波画像は他のモダリティと比較してリアルタイム性に優れ装置が小型であることから診断だけでなくイメージガイド下治療・処置に広く使用されている.一方で,術中利用可能なプローブは2Dであり,三次元的な血管網をその場で把握するためには,走査を繰り返して三次元形状・構造を想像する必要がある.そのため,我々は術中にその場で3D超音波画像を構築し呈示する超音波ナビゲーション技術について研究に取り組んできた.本発表では,これまで開発してきたGPGPU技術を用いたリアルタイム3Dフリーハンド超音波に加えて,仮想十字超音波として生の超音波画像と直交する断層像を構築した3Dボリュームから生成することで,複数断面を呈示する技術を開発した.本手法は,構築したボリューム位置をスライス/ボリュームレジストレーションで位置補正した上,その位置に基づいてボリュームからスライスを生成し,通常のプローブで複数断面を呈示可能とする技術である.また,術中・処置中にその場で利用するために,GPGPUによる高速化について検討したので報告する.

  • 西川 敦, 遠藤 航, 勝又 進介, 熊王 彰吾, 田中 淳樹, 佐藤 大徳, 溝江 俊太郎, 岩本 憲泰, 河合 俊和, 西澤 祐吏, 宇 ...
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S3_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    近年のAI技術の進展により手術支援ロボットの自律化に向けた研究が着目されている.本研究では,特に,ステレオ内視鏡により得られるRGB画像およびデプス画像,ならびに,光学式3次元計測情報を適切に処理・融合することにより,手術支援ロボットの自律レベル向上に貢献できる様々な術中センシング技術の開発を,文部科学省科研費・新学術領域研究(多元計算解剖学)の一環で実施した。(1)内視鏡把持ロボットの自律制御のための有用な情報であると考えられる内視鏡画像中の手術器具の先端位置を実時間で視覚追跡する基本アルゴリズムを開発した.(2)さらに,デプス画像を併用することにより,互いに重なり合う手術器具の追跡手法ならびに手術器具と臓器の接触推定手法の開発を行った.(3)手術器具把持ロボットの自律制御を視野に入れ,臓器牽引(カウンタートラクション)時における手術器具先端荷重推定システムの開発を行った.(4)手術器具先端から臓器表面までの距離の推定手法,ならびに,手術器具の方向制御手法の開発を行った.(5)様々な内視鏡手術視野評価指標の設計を行い,内視鏡把持ロボットを用いた被験者実験により,その有用性の検討を行った.

  • 桑名 健太
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S4_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    医療機器開発には,医療従事者,医学系・工学系研究者,工学技術者,企業経営者他,様々な背景を持つ個人・組織が連携する必要があるが,適切な相手と連携を開始することは非常に難しい.工学系研究者の目から見ると,現場のニーズを持つ医療従事者・医学系研究者とは出会う機会自体が乏しく,シーズの製品化・事業化を担当する企業関係者に対しては,製品化・事業化のメリットを十分に説明できず,なかなか連携には至らない.近年,連携開始にかかわるニーズ・シーズマッチングの機会が増加しているが,連携開始に至る事例は必ずしも多くなく,連携相手を見つけることは工学系研究者に限らず医療機器開発を行う関係者にとって大きな課題である.そこで本演題では,著者らの活動を紹介しつつ,医工マッチング・産学連携の課題を整理し,ニーズ・シーズマッチングの進め方について,一つのアイデアを提案する.

  • 荒船 龍彦
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S4_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    医看工連携研究には,共同研究開始の黎明期,非臨床研究,研究費獲得,臨床研究,事業化製品化,といった各ステージで全く異なる困難さと解決すべき手段が存在する.それぞれのステージで最適な課題解決手段を取れなければ研究はストップしてしまい,継続的な研究体制の維持と,次のステージへ研究を進歩させることは難しい.我々は2009年より東北大学,産総研,東京大学の研究者らを中心に設立された分野横断型医工学研究プラットフォームBASICを組織し,所属や肩書きにとらわれず,産官学,医薬工看といった様々な分野からニーズシーズマッチングを加速させる活動を継続的に実施してきた.これまでに50回を越える講演事業,10以上のコア研究テーマ推進,さらに本プラットフォームをハブとした様々な共同研究発足の経験から,医工連携の発案と持続可能性を高める工夫について報告する.本発表では特に研究立ち上げの黎明期,臨床研究から事業化において研究者が直面しがちな課題を取り上げ,その解決手段について提案する.

  • 鷲尾 利克
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S5_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    個々の患者に対して適切な看護を提供するには、その時担当する看護師個人の経験のみならず、他の看護師の経験も必要な場合がある。看護師間では情報の再利用を目的に、それぞれの経験を言語化し共有しているが、1)言語化の差異、2)想起される経験の差異、がある。その結果、個々の患者に対する共通認識を全看護師で同一に保つことは、各看護師の多大な努力に依存している現状がある。本研究では非言語の情報を携帯端末を用いて容易に収集・共有するシステムを工学側から提案し、看護における情報共有を従来より容易にし、患者情報に関する認識のずれを、臨床現場ですぐに修正し、そして同一化出来ることを目指した。本システムは従来提案されている情報の一元的集約を目的とした電子カルテシステムと連携することは行わず、画像、動画、音声といった電子カルテシステムでは通常記録しない情報を収集した。ここでは、情報共有システムの開発を行う中で、職種の違いによる問題解決のアプローチ方法の違いや、工学側の認識不足から研究が停滞した経験を供覧し、今後の迅速かつ無理のない看工連携の成立に貢献する。

  • 朔 啓太
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S5_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    発表者は、臨床医として数年間病院勤務後に大学院を経て、医学部において研究活動を行なっている。博士課程時の研究テーマを臨床応用するプロジェクトが日本医療研究開発機構(AMED)の公募にて採択されたことをきっかけにクラスⅣデバイスの医療機器開発に着手した。自身に経験がないことは言うまでもなく、所属研究室においても、事業化まで見据えた医療機器開発工程における知識はほとんどなく、あらゆるステージにおいて壁にぶつかり、難渋をしている。本セッションにおいては、医学系若手研究者の視点から医工連携・産学連携の難しさや医師の医療機器開発工程に対する理解の現状、発表者自身の解決方法などを紹介し、フロアの皆様と議論していきたい。

  • 塚尾 浩
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S6_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    本邦の慢性透析療法の現況については、日本透析医学会が詳細な統計調査を毎年実施している。それによると、本邦では2017年末現在で334505人の慢性透析患者が透析療法を受けている。透析療法が東日本大震災などでも大きな問題として語られたのは、週3回4時間実施される透析療法が何らかの原因で継続できなくなったとき、それは生命が文字通り危機に陥るからに他ならない。しかし、突発的な大災害ばかりが危機の原因ではない。例えば、少子高齢化は社会の成り立ちを変容させる大きな要因となりうるが透析療法を取り巻く医療環境も多大な影響を受けている。透析患者の平均年齢は68.43歳で、上昇傾向にある。特に65歳以上の患者数の増大が平均年齢の上昇に寄与している。また、医療費の増大が国家財政の圧迫原因になっていることは周知の事実である。本邦が豊かな医療先進国であることには間違いはないであろう。しかし、人口分布の変容や財政の衰退は、透析療法の持続可能性を阻む要因となる。これに対するためには、“医”のみならず“看”や“工”の総力戦で挑まなければならない。そのために各分野でご活躍の諸氏にそれぞれの立場から提言を頂き方策を導く一助としたい。

  • 張 同輝
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S6_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    近年透析患者の高齢化がすすみ維持透析患者の平均年齢が70歳に迫っている。社会も高齢化社会しており総人口に対する高齢者人口の割合は28.1%に達し、老老介護だけではなく認認介護という単語も作られている。透析に関する医療費の増大もあり、近年透析医療を取り巻く環境は厳しくなっている。この医療の状況を乗り越えべく、看護師が抱える臨床現場の困りごとを解決するために看護師と工学分野のものづくり企業が連携して製品開発などを行う看工連携や、医学系と工学系の学会の連携により医療現場とものづくり現場とを融合する医工連携が話題となっている。しかしながらこの様な機会は臨床医に滅多になく、医師として22年生きてきて患者さんから頂いた色々な不便・ヒント・アイディアを、薬品・器械・機械の開発者とシェア出来る機会はすくなかった。今まで命がけで私を教えて下さった患者さんに恩返しが出来ていない状況である。今回医看工融合シンポジウムに参加させて頂くにあたり、微力ながら貢献出来ることを運命に感じ、22年の日々の診療のもやもやを全力でぶつけ、率直な意見を交換しながら皆様の生体医工学発展の一里塚になればと考えている。

  • 徳田 勝哉
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S7_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    透析医療は「腎不全患者を救命する時代」から「透析による生活への悪影響を考える時代」へと転換してきた。その結果、全体的QOLを熟慮される時代へと突入している。そして、医療という言葉には「チーム医療」という意味合いが含まれているが、あえて「チーム医療」の重要性を全面的にうちだした活動や取り組みが主体となっている背景には何らかの要因があると推測される。医療には、多くの職種が関わり専門性や卓越した技術に特化した資格制度等がある。もちろん専門分野に特化したライセンスは有能な人材を育成し、高度な医療の提供に寄与していることは明らかである。しかし、専門分野の細分化が進む一方で患者を全体的に捉えて関わることも今一度考えなければならないことも事実である。今後、高齢化や疾病構造の変化、家族背景などの問題にも対応しつつ腎不全への予防的介入を系統的に実践することが求められている。そして医療費の問題も深刻であり、医学・工学・看護学という異なる学問としても議論を深め共有する時期にきていると考える。今回、看護師の視点や直面している問題点を提示し、他職種との協働の強化と我々看護師自身の強化すべき課題を考察し報告する。

  • 荻野 稔, 苗村 潔, 伊藤 奈々, 笠井 亮佑, 上條 史記, 楠元 直樹, 秋本 和哉, 田仲 浩平, 篠原 一彦, 横山 憲二
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S7_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    透析患者の死因第一位は心不全であり高齢化や糖尿病腎性の増加を背景としながら心血管系合併症が生命予後に大きく影響している。対策の一つとして酸化ストレスや炎症を抑制することを目的とした水素による電解水透析が注目されている。具体的には、血中IL-6やCRPの低下、赤血球膜の酸化的障害の軽減、さらにリンパ球の炎症性アポトーシスが多数報告され、水素には抗酸化・抗炎症作用があるとしている。そこで我々は、現状の電解水透析に代わる新たな方法としてオフライン血液濾過に応用できる水素溶存血液濾過補液を作製し特性について検討した。具体的には、異なる温度環境下において血液濾過補液の水素溶存度を測定した。さらに血液濾過膜の水素透過性を評価した。

  • 小久保 謙一
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S8_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    これまでの血液浄化技術の発展を振り返ると、医のニーズを工の技術で解決することで、新しい治療法としての血液浄化療法を確立できるようになったところから始まり、現在では、医工連携だけでなく、看工連携といった取り組みから、医療現場のニーズを解決しようとする試みもある。これらは、現在の問題点から出発して、未来に向けて何をすべきかという方向での発想法に基づく(フォーキャスト)。一方、目標となる未来を定めた上で、そこを起点に現在を振り返り、今何をすべきか考える未来起点の発想法(バックキャスト)も近年注目されている。特に医看工融合といったテーマでは、その到達点を今後想定されるAI技術の発達や超高齢化社会を踏まえて設定し、そこを起点に、今後開発すべき技術や取り組みを考えるバックキャストの発想は有効であろう。例えば、血液浄化療法の到達点を、在宅治療(遠隔治療を含む)、持続治療(装着型・携帯型)、テーラーメイド治療としてバックキャストすると、工学からは、小型化、自動化、安全性の向上、モニタリング技術、耐久性といった技術開発が思い浮かぶ。医・看と到達点を共有することで、医看工が融合した技術開発を目指したい。

  • 瀬戸 僚馬, 天野 秀紀, 中野 遼太郎
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S8_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    少子高齢社会への対応が進む中で、限られた人的資源による質の高いケアの確立は急務である。この観点から、看護現場においてとりわけ負荷が高い「観察とその記録」には抜本的改善が求められる。観察行為には、看護師の五感を活用した情報収集と、その収集した情報を形式知に変換し、さらに状態を判断する行為が多重に含まれているため、多大な労力を投じながらも、記録に至る段階では記載者によって多様性が見られるようになる。こうした課題を解決する観点から、観察の一部に機器を導入する動きが強まっている。バイタルサイン測定を電子カルテに反映するような現業務を支援する機器もあれば、エコーのように看護師には馴染みの薄かった機器も徐々に浸透してきている。人と機器にそれぞれ得手不得手があり、ケアの質と業務効率を勘案して、その棲み分けのバランスを考える必要性に迫られている。こうした問題意識をもとに、目視による観察と記録はどこまで自動化できるか考察したい。

  • 奥平 寛奈
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S9_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    日本は「2025年問題」に象徴されるように、少子高齢社会が抱える大きな課題に取り組まなければならない。この為、国は、住み慣れた地域で安心して質の高い医療サービスを受けながら生活していけるような社会を目指し、地域における医療機関等の間で必要な情報連携を進めていくことを重要視している。電子カルテ等ICT を活用したネットワークを構築することで、こうした情報連携を効果的に進め,地域における質の高い医療の提供に寄与する取組みを進めている。では、看護基礎教育の現場はどうであろうか。各種シミュレーターの開発により、看護技術に関しては臨床を想定しつつも患者と学生の安全を担保した教育が可能になってきた。しかし、 医療情報システムを看護業務に活用できるような実践的な教育はできているだろうか。患者にとって身近な存在である看護師が得る様々な情報は、患者ケアに重要である。今後、在宅医療が中心となると取得した情報を的確に多職種で共有していくことの必要性と重要性を今以上に考えていかなくてはならない。臨床における多職種連携だけでなく、教育における多職種連携により医療情報システム活用の実践的な教育ができること願う。

  • 石井 香奈子, 石垣 恭子
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S9_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    現在、多くの病院で、電子カルテシステムは様々な情報端末で閲覧可能である。一方、看護師の業務は各場面、各個人に適した情報端末が存在し、選択されている。看護師がどのような業務に対してどのような情報端末を選択しているのか、選択する看護師による個人差が存在するのかを検討し明らかにしてお行くことは、看護業務の効率化を検討するために必要であると考えられる。そこで今回、看護場面の違いによる情報端末の選択と看護業務の効率化について検討した。外来・病棟・手術室の看護単位が一元化されている単科病院において、看護師がそれぞれの業務で好んで選択する情報端末と選択しない情報端末、それぞれの理由について調査、考察した。業務に即した情報端末を導入する時、情報端末の利用者が医療者のみではなく、患者・家族へと拡大しようとしている今こそ、利用者の操作性と視認性に着目した検討も必要であり、導入時に考慮すべき項目の一つに挙げられると考えられる。

  • 星 善光
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S10_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    ナースコールシステムは多くの病院に設置され,様々な情報の伝達手段として利用されている.ナースコールシステムに様々な情報が統合されることで病棟内の情報を集約することができる.呼出回数の増加は業務負荷が増大する危険性もはらんでいる.呼出回数の増加や同時複数呼出は患者への対応を遅らせる要因になる.時間的な制約のため同時に対応できない場合,対応遅れにつながる可能性がある.呼出方法や情報伝達方法については今後も改善が望まれる.一方,ナースコールシステムに多くの情報が統合されることにより,看護師患者間における様々な情報のやり取りが記録される.情報を解析することで看護業務の運用に有用な情報を得ることができると考えている.例えば,呼出時間の解析から呼出集中を明確化できる.呼出が集中する時間帯は業務負荷も高く,事故が生じる可能性も高いことから,明確化により医療事故を未然に防ぐことができるかもしれない.業務負荷の偏りを明確化することで看護師の業務効率化に有用な情報が得られる可能性もある.本報告では,ナースコールログの解析に関するこれまでの成果とナースコールログの活用についての今後と問題点を述べる.

  • 脇坂 仁
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S10_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    病棟のナースコールシステムの受信装置としてPHS端末が多く利用されているが、2020年の公衆PHSサービスの終了に伴い新規導入やメンテナンスが次第に困難となることが予想される。一般の携帯型電話端末として発達・普及したスマートフォンがPHS端末の代替案となることはコストの面からも容易に予測されるところである。しかしながら実際の病棟業務にどのような変化をもたらすかについて医療者の立場から詳細に検討されることはまだあまりない。とくに電波環境の側面からの議論は重要になるだろう。現在広く利用されているLTEの電波は、空中線電力で比較するとPHS端末の最大80mWに対して最大200mWとなり、一見医療機器に対する安全性が低下するように思われる。しかしながら病院内の近隣基地局からの電波がより強ければ、スマートフォン端末からの出力はより小さくなる。大規模な病院は災害対策の一環として基地局強化が図られることも多く、それにより電波状況が改善される可能性も高い。またすでに病棟に無線LANの利用環境があれば、一部の通信にそちらを利用することでLTEの電波を使わすに済ますことも可能となる(Fixed Mobile Convergence)。運用最適化も議論する。

  • 保坂 良資
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S11_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    看護現場は医療の最前線である。患者安全を考えたとき、看護現場の状況を改善することが有効と考えられる。一方、看護現場には多くの情報システムが導入されている。これらの仕様の最適化や、新たな発想に基づく技術やシステムの投入で、患者の安全性を向上させることもできる。著者はこれまで、医用ワイヤレスシステムを中心に臨床現場の合理化を提案してきた。最近では、UHF帯RFIDなどの先進的な技術による臨床現場での個体認証を推奨している。ワイヤレスシステムでは周囲に電界を放射することが多く、生命維持装置との親和性が問題になることがある。現在のワイヤレスシステムの多くは、静的には安全である。しかし運用環境によってはホットスポットを生じ、安全性が阻害されることもある。広く普及しているバ-コ-ドは、ときとして作業者の業務負荷を増大させる。一次元バ-コ-ドでは投射光と反射光の衝突で認証効率が低下する。2次元シンボルでは合焦時間が問題となることもある。これらが合理的に改善されれば、看護現場の電磁的安全性が保証されたり、作業負荷が軽減され、全体的な患者安全がはかられよう。本研究ではこれらの概要をまとめたので示したい。

  • 梅津 光生, 岩﨑 清隆, 松橋 祐輝, 坪子 侑佑, 笠貫 宏
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S11_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    講演者が、本会の生田幸士大会長と、「真の医工連携に必要なこと」に関して意見交換したのは、今から10年以上前である。写真だけを見て仲人の勧めを信じて結婚を決意するような「戦前の見合い」方式では、相手のことがわからず、成果が上がらない、やはり、「一つ屋根の下での同棲生活」でお互いが理解でき、成果が上がりやすいのではないか、との結論を得た。そのコンセプトが、早稲田大学と東京女子医科大学の連携施設であるツインズの創設につながっている。しかし、工学研究者が第一線の臨床医と組んで高い技術を造り上げたとしても一般治療として定着するまでには多くのハードルがある。そこを乗り越えるためには十分な科学的根拠を取得することであり、医療レギュラトリーサイエンスという学問が重要となる。2014年制定の「医薬品、医療機器等の品質・有効性・安全性の確保に関する法律」が、5年を経て、新医療機器の迅速な臨床応用に向けて、さらなる法整備が進められている。その流れの中で、実臨床になるべく近い環境を再現した上で、新たな治療の効果と適正な使用法を説明できるような評価系技術の確立がキーとなり、それを体験できる人材の育成を進めている。

  • 伊藤 雅昭, 岩崎 清隆, 梅津 光生
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S12_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    昨今ロボット支援手術の実施例は拡大し、本邦では昨年度多領域において保険収載が実現した。一方、手術支援ロボットに関する臨床試験も様々な領域で施行されてきた。多くは標準治療とロボット支援手術との比較試験であるが、ロボット支援手術の明らかな治療成績の優位性を検証した試験は少ない。直腸癌を対象としたROLARR試験では、ロボット支援手術の腹腔鏡手術と比較した主要評価項目(開腹移行率)の非劣勢は証明されなかった。また費用対効果の点ではロボット支援手術の劣性を指摘する試験も少なくない。このような客観的なデータに基づくと、手術支援ロボットの今後の開発展望には、手術工程で必要とされる機能特化や将来想定される手術環境への対応が求められると推測される。現在手術支援ロボット開発を行う企業が世界的に多数登場し、それぞれがターゲットとする疾患やロボットの独自性を想定し開発を進めている。しかし将来どの開発ロボットが臨床ニーズに即し、治療現場に受け入れられるかという方向性は定まっていない。このような世界的現状も踏まえ、既存の手術ロボットとは異なる機能やコンセプトを有する革新的医療機器の創出への展望を議論したい。

  • 齋藤 正美
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S12_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    2014年、医薬品医療機器等法が施行され、疾病の診断・治療・予防を目的としたプログラムは医療機器になった。これにより、人工知能(AI)と医療機器の距離がより近づいたと感じている。厚生労働省でも、画像診断支援等のAI開発を進めるべき重点領域が掲げられ、AI活用への期待が高まっている。AIを活用した医療機器は、市販後に性能が変わりうること、教師データの質により性能が変化することが、特徴である。この特徴は、従来の医療機器と根本的に異なり、その承認審査はチャレンジングな課題と考える。AIを活用した医療機器の承認審査時に留意すべき事項は、厚生労働省「人工知能分野審査WG」やPMDA「科学委員会AI専門部会」で取り纏められている。これらは、現時点におけるAIを活用した医療機器の評価指標と言えるが、技術発展に伴い、随時更新が求められる。AIを活用した医療機器のような先進的な製品に対しても、従来の医療機器と同様、有効性及び安全性を確保して迅速に医療現場に提供できるよう、科学技術の進歩や医療機器の特性に応じたレギュラトリーサイエンスを構築していく必要がある。本演題では、AIを活用した医療機器の審査の現状と課題について、共有したい。

  • 栗田 宣文, 福本 富一
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S13_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    米国CSI社のDiamondback 360 Coronary Orbital Atherectomy System (OAS)は、冠動脈重度石灰化病変をダイヤモンドコーティングされたクラウンが高速で軌道回転することにより、石灰化プラークを減少させ、その後のPCIを容易にするデバイスである。 第一世代のOAS Classic Crownは、米国でのORBIT II試験により2013年FDAから承認された。第二世代のOAS Micro Crownは、2014年日米医療機器規制調和(HBD)の一環で実施された日米同時治験(COAST)の結果、2017年に日米同時に承認された。しかしながら、米国では限定施設による臨床使用において、59例中5例(8.5%)の重篤な有害事象が報告され、第一世代のClassic Crownに回帰。 一方、日本では導入初期より治験施設の提言として適応病変や手技の注意喚起が行われ、継続使用された。日本での有害事象の発生率は0.5% (3/583例:2018年末時点)に止まったが、米国同様にClassic Crownへの回帰が考慮され、2018年12月に第一世代であるClassic Crownに改良が加えられたNew Classic Crownが新ガイドワイヤとともにPMDA承認を受け、以後普及が加速している。日本での同製品のディストリビュータとして、これらの経験から学んだことを考察する。

  • 岩崎 清隆, 松橋 祐輝, 坪子 侑佑, 朱 暁冬, 高田 淳平, 笠貫 宏, 梅津 光生
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S13_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    先進技術の結集からなる医療機器は、これまで治療が困難であった患者さんの治療、そして、医療の発展に大きく貢献している。革新的医療機器の開発の成功確率が高いとは言えず長い開発期間を要する。最先端の医療機器を開発し、患者さんに迅速に届けるためには、技術開発に加え、安全性と期待される有効性の科学的・合理的評価が必須である。しかし、既存の評価方法では、新しい医療技術の評価に限界があり、そのまま患者さんによる臨床試験を行なう場合にはリスク予測が困難になる問題に直面する。我々は、病態のモデル化技術を実験・シミュレーション技術を発展させ、患者を模したこれまでにない試験システムを開発して有効性と安全性の評価方法の開発に取り組み、開発の効率化、そして、行政における決断の科学的根拠に活用される研究を推進している。また、特に医療機器では医師の治療手技も治療成績向上に重要であり、治療方法がない患者さんに対する効果的治療法の開発に取り組んでいる。現場の最前線で治療に挑んでいる医師との多くの共同研究により明日の実臨床を良くする研究成果を積み上げており、本講演では、最新の我々の取り組みについて紹介する。

  • 井手口 拓郎
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S14_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    分子振動分光は生体試料の化学的な特性を非標識で得る手法として利用することができ、蛍光標識による顕微イメージングが使えない場面での活用が期待されている。しかしながら、従来型の赤外顕微鏡やラマン顕微鏡は、それぞれ、空間分解能や感度の低さという技術的な制限のもとにあった。我々は、先端の光技術を駆使することで、これらの技術的な課題を解決する種々の手法を開発してきた。本講演では、超短パルスレーザーを用いたコヒーレントラマン分光顕微鏡と、量子カスケードレーザーを用いた赤外フォトサーマル分光顕微鏡を紹介する。

  • 相良 剛光
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S14_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    近年、分子レベルで作用する微細な力を可視化・評価する試みが盛んに行われている。高分子化学の分野では、力により分子骨格を形成する共有結合を切断することで、吸収色や発光色が変化するメカノフォアと呼ばれる分子骨格が盛んに研究されている。しかし、共有結合を切断するためには、ある程度大きな力が必要となってしまい、生体応用には不向きである。そこで我々は、超分子化学の分野で長年研究されてきたインターロック分子の一つであるロタキサンの構造に着目し、超分子メカノルミノフォアを開発した。このロタキサン型超分子メカノルミノフォアを、共有結合を介してポリウレタンに導入すると、成型したポリウレタンフィルムが伸縮に応答し、蛍光を可逆的にON/OFFスイッチすることがわかった。

  • 堀﨑 遼一
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S15_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    光を用いたイメージングは,高速かつ非侵襲であるため医療分野で長く利用されている.一方,光学分野において,コンピュテーショナルイメージングと呼ばれる信号処理を前提としたイメージング技術が近年注目を集めている.コンピュテーショナルイメージングは,光学系と信号処理系が独立して設計されている従来のイメージング技術に対し,両者を統合設計することでイメージング性能の向上やハードウェアの簡略化が可能である.特にGPUに代表される計算機の演算パワーの向上や深層学習に代表される情報科学技術の進展が当該分野の追い風となっている.また,医療分野においては,イメージングシステムの高速化・高画質化・小型化は重要課題であるため,医療応用を念頭に置いたコンピュテーショナルイメージングに関する研究も進んでいる.本講演では我々が開発を進めているコンピュテーショナルイメージングに関する研究例を,散乱体を通したイメージングを含めて幾つか紹介する.

  • 岩城 光宏
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S15_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    心臓は生命機能を維持するための機械的機能に特化したシステムです。ミクロからマクロな階層で生み出される力は、拍動の安定化・遺伝子発現や形態形成などを調節し、遺伝的変異などによって力の乱れが起こると種々の心臓病を発症します。力の乱れによって引き起こされる病態発生のメカニズムを理解するには、心臓拍動の分子動態や力学動態のイメージングが大きな武器となりますが、技術的にはまだまだ不足しています。我々は、拍動の収縮単位構造であるサルコメア内の個々の分子動態を1分子の解像度で光イメージング可能なシステムを、DNAを材料にしたナノデバイス(サルコメア様プラットフォーム)と超解像イメージング技術を組み合わせて実現しています。また、同じくDNAを材料にした世界最小のコイル状人工バネ「ナノスプリング」を開発しており、バネの硬さをプログラム可能で高輝度に蛍光標識が可能です。今回の講演では、これら独自に開発したDNAナノデバイスと単一分子イメージング技術を組み合わせたシステムとその成果を発表します。

  • 南川 丈夫
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S16_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    医療において病変部や周囲組織の「見える化」は疾患の状態,病変の空間的広がり,悪性度などを明らかにし,治療方針を決定する上で非常に重要な情報を与える.しかし,現行のCT,MRI,HE染色などに代表される組織診断などの手法は,装置が大型,無菌状態の維持が難しい,診断まで時間を要する,侵襲的などの理由から,外科手術中に用いることが難しい.そこで本講演では,前処理を必要とせず,非侵襲的に細胞や組織を構成する分子情報にアクセス可能なラマン散乱分光法を用いた術中センシングの可能性について紹介する.ラマン散乱分光は,分子振動を介して無染色・低侵襲に細胞や組織の分子情報にアクセスできることから,分子に基づく術中その場診断を実現する上で適した手法であると考えられる.本講演では,特に我々が行ってきた心筋梗塞評価やがん手術時の末梢神経検出などを中心とした術中医療センシングを目指したラマン散乱分光法に関する取り組みについて紹介する.

  • 清水 秀二
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S16_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    2015年4月に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が設立され、4年が経過いたしました。AMEDでは、医療分野における基礎から実用化までの研究開発が一貫して行われ、その成果が円滑に実用化されるよう、大学や研究機関などが行う研究を支援し、研究開発やそのための環境の整備に取り組んでまいりました。AMEDでは、現在、国が定める「医療分野研究開発推進計画」に基づき、「オールジャパンでの医薬品創出プロジェクト」「オールジャパンでの医療機器開発プロジェクト」「革新的医療技術創出拠点プロジェクト」「再生医療実現プロジェクト」「疾病克服に向けたゲノム医療実現プロジェクト」「ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト」「脳とこころの健康大国実現プロジェクト」「新興・再興感染症制御プロジェクト」「難病克服プロジェクト」の9つの統合プロジェクトを中心とする研究開発を推進しています。本ワークショップでは、AMEDの活動をご紹介するとともに、AMED支援のもと、実際に研究を行っている先生の声をお届けし、皆様の研究活動の一助とさせていただければ幸いです。

  • 芳賀 めぐみ
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S17_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    AMEDにおいては、研究分野に関して優れた学識経験や研究開発の実績等を有し、研究開発課題の評価及び業務運営に関して見識を有する専門家をプログラムディレクター(PD)、プログラムスーパーバイザー(PS)、プログラムオフィサー(PO)として配置して、研究開発の管理・運営を行っています。PD、PS、POは協力して、連携分野全体の課題を把握し、担当する連携分野の運営や分野間の協力の推進等の高度な専門的調整を行うとともに、優れた研究開発提案の評価・発掘や基礎研究の成果を臨床研究・実用化につなげる一貫した運営を行います。 AMEDにおける研究開発課題の評価は、外部有識者により構成される課題評価委員会で行っています。事前評価委員会では、公募に応じて提出された研究開発提案書の中からAMEDが支援する研究開発課題を選定します。また、AMEDが支援した研究開発課題の進捗状況を評価するために中間評価・事後評価を行っています。このようにAMEDでは、PD、PS、PO、課題評価委員らの力を借りて、課題管理・課題評価を行い、医療分野の研究開発を推進しています。

  • 岩田 倫明
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S17_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    医療機器は医薬品と異なり、製品化に至るまでの開発プロセスは必ずしも一本道ではなく、プロセスのどの段階においても振り返り、設計の見直しが可能であり、開発、検証、改良を繰り返しながら製品化を目指す、という特性がある。また、製品が多品目、多様であり、機器の種類、クラスの違い等によっても様々な開発パターンが存在する。しかしながら、いずれのパターンにおいても実用化するためには、最終的には製造販売業者による製造販売承認等の許認可の取得と事業化が必要であり、より良い医療機器をより早く患者さんに届け、医療の質の向上に役立てるためには、開発初期段階から事業化戦略を意識し、スピード感をもって研究開発を進めることが重要である。そのため、AMEDでは、医療機器において事業の進捗状況等にかかる評価(Go/no-go判断を含めた事業化方針見直し等)を適切な時点で行うための「振り返り地点」として、治験を実施する事例を一例にステージゲートを設定し、チェック項目を作成した。また、これらを活用した適切な事業管理により、AMEDの研究開発支援の成果を一層高めるとともに、研究費の効果的な配分・使用に資することを目的としている。

  • 朔 啓太
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S18_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    医療機器開発は、基礎研究から臨床応用、事業化に至るまでさまざまな工程やハードルが存在する。しかしながら、特に医学部における若手研究者は、基礎研究の遂行や治験補助の機会はあれ、医療機器が市場に出るまでの工程を目にすることもそれを意識することもあまりない現状がある。これは、医療機器開発の教育をするプラットフォームがほとんどの医学部にないことや経験をもとに知識を提供できる教員が非常に少ないことに起因すると考えられる。医師や医療スタッフが医療機器開発の基本的知識を共有しておくことで、これまでにない医療ニーズに合致した製品が生まれる機会を増やすことが可能となる。AMED支援のもと、これまでの4年間で2つのクラス4デバイスと1つのクラス2デバイスの開発を遂行してきた。基礎研究に投入する研究費の獲得以上に、プロジェクト担当官や支援機関より受けたプロジェクトマネジメント教育が開発推進につながった。本セッションにおいては、発表者自身の体験を下に、AMEDによる若手研究者への医療機器開発支援のあり方について考察・議論をしていきたい。

  • 泉田 欣彦, 清水 秀二, 佐伯 久美子
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S18_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が今年1月開催された。 その中で安倍晋三首相は世界経済の持続的な発展には「自由と信頼」を原則とした「データ流通圏」の創設が必要だと強調した。世界は国際的なデータシェアをもとにした大容量情報を新しいコンピューティング・テクノロジーで解析することで、新しいプラットフォームを形成し、ひいては経済成長力をも底上げすることができるとみる。 その潮流を支える重要な情報工学的手法があり、それがData-driven Scienceである。 ハイスループット分子生物学(High-throughput molecular biology)の大容量データと電子健康記録(Electric Health Records)等の大規模臨床デジタルデータを結合した新しいモデルの進歩は、前例のない規模でのリアルワールドデータの収集と分析を可能とし、医療研究開発におけるパラダイムシフトを起こす可能性を示している。 これからの生体医工学はヒトの多様な生態を正確にモニターし生体情報化する基盤的なテクノロジーとして重要性を増すとともに、研究開発における独創性の真価が最も発揮される領域となることが予見される。

  • 石井 健介
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S19_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    医療機器の開発においては、その特性から市販前と市販後の一貫した対応を図り、トータル・プロダクト・ライフ・サイクルを適切に管理することで、医療機器のリスクとベネフィットのバランスを保ちつつ、開発を促進することが重要である。生理学的パラメータやそれを演算処理して得られた数値等の中には、診断の参考情報となり得ると考えられるものの、臨床症状や病態との関連づけが広く認知されるには至っていない場合がある。このような場合、治験によりその数値等の臨床的意義を示す必要がある。一方で、最終的な目標である臨床的な意義がまだ確立されていなくても、生理学的な状態や機能を測定、モニタリングする機器では、使用目的や効果の範囲を限定して承認申請を行うことができる場合がある。すなわち、このような医療機器においては、承認後に臨床現場での使用経験を踏まえながら、臨床的エビデンスが確立されたのちに、必要に応じて再度申請を行うこと(一部承認変更申請)などの二段階の開発戦略があり得る。そのため、PMDAとの開発前相談を通じ、審査側との意見交換を進めることが、開発コストの最小化と製品の実用化への最短ルートと考えられる。

  • 鎮西 清行, 光石 衛, 佐久間 一郎
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S19_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    筆者らはPMDA科学委員会が2018年3月に公表した「AI を活用した医療診断システム・医療機器等に関する課題と提言2017」(PMDAレポート)の起草に参加した.その後,本邦での機械学習応用製品の承認事例が登場し,AI技術を利用した画像診断支援システム(AI-CAD)に関する開発ガイドライン・評価指標が公表に近づいている.これらを踏まえてAI応用医療機器のレギュラトリーサイエンスの観点からいくつかの論点を提供する.1) PMDAレポート: AIの特徴と,AIが医療診断システム・医療機器等に応用された時に考えるべき点を述べている.技術側面,規制側面にとどまらず,倫理的影響まで中長期的視点から述べている.2) AI-CAD開発ガイドライン・評価指標: 次世代医療機器・再生医療等製品評価指標は審査の際の参考文書,開発ガイドラインは開発者のための参考文書である.前者は学習データとテストデータの分離,データの品質,市販後学習の留意点などを述べ,後者はAI応用製品の開発プロセス,統計技法について述べている.3) 市販後学習は有効か: 日米では市販後学習を含む製品の承認例がない.規制上の困難だけが理由ではなさそうである.結局「ペイするか」が課題ではないだろうか.

  • 稲田 慎, 相庭 武司, 柴田 仁太郎, 原口 亮, 芦原 貴司, 草野 研吾, 清水 渉, 池田 隆徳, 中沢 一雄
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S20_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    心臓突然死の原因となる心室細動の発生メカニズムとして,心筋組織内の電気的興奮伝播の不均一性が考えられている.しかしながら,メカニズムの詳細については不明な点が多い.我々の研究グループでは,長年,心臓形状モデルを用いた電気的興奮伝播のシミュレーション研究を行ってきている.本研究では,心室形状モデルを用い,スーパーコンピュータによる電気的興奮伝播のシミュレーションを実行し,電気的興奮伝播が遅延する領域の部位,大きさ,遅延の程度と不整脈の誘発性および持続性との関係について,心電図と位相特異性との観点から検討した.その結果,右室流出路における電気的興奮伝播の遅延は,他の領域に遅延がある場合と比較して,心室性不整脈の誘発性が高いことが明らかとなった.本セッションでは,シミュレーションによる不整脈研究の成果,将来の不整脈の制御や治療などに向けた展望について議論する.

  • 富井 直輝, 山﨑 正俊, 中沢 一雄, 本荘 晴朗, 佐久間 一郎
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S20_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    難治性不整脈の発生時には,心臓組織内に複数の旋回興奮波(Spiral wave, SW)が発生・消滅を繰り返す事が知られており,複雑なSWの挙動を客観的に解析する事は,効果的な治療を実現する上で重要な課題である.これまでの多くの研究で,Grayらにより提案された位相解析がSWの動態解析に用いられてきた.この手法では,心臓組織各点の周期的な興奮における位相を表す空間位相マップを描出し,その中に現れる全位相が集約する位置を,位相特異点(phase singularity point, PS point)とみなしてSWの中心点と定義し,その軌跡を解析する.しかしSWの中心を点とみなす従来手法では,SWの発生・移動・消滅の過程を定量的に追跡する事が困難であることが経験的に知られてきた.この事から我々は,2次元の空間位相マップ内に現れるPSは本質的に点ではなく,旋回中心付近で発生する興奮伝導のブロックによって発生する線(PS line)であり,PS lineこそがSWの瞬時の移動方向・速度を決定付けている,という仮説を立てた.本研究では,30mm四方の2次元心筋シートを模した電気生理シミュレーションモデル上で,様々な様態のSWを誘発し,中心付近の位相分布を詳細に検討する事で仮説を検証した.

  • 芦原 貴司, 小澤 友哉, 奥山 雄介, 藤居 祐介, 加藤 浩一, 中川 義久, 杉本 喜久, 原口 亮, 稲田 慎, 中沢 一雄
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S21_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    【背景】脳梗塞や心不全を引き起こす心房細動(AF)には,肺静脈異常興奮を隔離するカテーテルアブレーション(心筋焼灼)が標準術式である.しかし,慢性化したAFにその術式はあまり有効でなく,AFのリアルタイム映像化に基づく新たな治療戦略が模索されている.【方法】標準術式に抵抗性を示すAFの患者に対し,我々が開発したリアルタイム臨床不整脈映像化システム(ExTRa Mapping)を適用した.心内電位に基づきAFを瞬時に映像化した上で,維持機構であるローター(機能的な興奮旋回)をミニマルな焼灼で制御し(図),長期予後を含めた臨床的有効性を検討した.【結果】(1)映像化されたAFは,不定在かつ不安定な動態を示す複数ローターで構成され,心房内に偏在するローターの存在確率には時間的再現性があった.(2)従来は心筋を瘢痕化させる強い焼灼が求められたが,AF維持機構を修飾しローターを制御するには,心筋を軽く変性させるミニマル焼灼でも十分なことが,本術後フォローで判明したAF根治率の高さ(79%)から推察された.【結語】標準術式抵抗性AFに対する新たなアブレーション治療戦略の構築に,AFのリアルタイム映像化によるローター制御が有用と強く示唆された.

  • 苗村 潔
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S21_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    医療従事者の資格取得に人工知能(AI)が如何に活用できるかを考えるシンポジウムとして、本学会が実施している第2種ME技術実力検定試験とも関係が深い臨床工学技士国家試験を取り上げ、実際に指導にあたっている先生方から、学生指導の工夫とAIについて思うことをお話頂き、フリー討論を実施する。導入の話として、臨床工学技士国家試験の概要について述べる。

  • 塚尾 浩
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S22_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    臨床工学技士養成課程では卒業年次の3月に実施される国家試験に合格するという具体的な目標に向かい学生も教員も邁進することになる。それは合格率という定量的な数値が容易に算出できるため、けして蔑ろにできないものとなっている。本校の学生は、そのほとんどが医療機関での勤務を志望するため、就職するためには必ず国家試験に合格する必要性があることを理解している。教員もまた同様である。本校の場合、4年時の後期に卒業に必要な単位として演習科目を設けており、それが実質的な試験対策となっている。学内での模擬試験を多く行うアウトプット中心の対策となっており分野ごとの正答率を算出することで自己の弱点を自覚しその補習に努めることになる。しかしながら、択一形式の結果から答えを導く過程を可視化するのは難しく、記述式とは異なりその思考過程が見えづらく理解度の判定には難渋する。学修成果の可視化は、国家試験対策のみならず高等教育の質の保証に関わる重要事項である。指導する教員のマンパワーをフル活用すれば個別指導にて可能になるかもしれないが、現実的には難しい。AIを利用した理解度判定ができればより良い指導ができるかもしれない。

  • 福長 一義, 大貫 雅也, 中島 章夫, 鈴木 哲治
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S22_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    本学の国家試験対策の主軸は模擬試験(過去問改変や協議会統一模試など)で、12月から直前まで毎週1から2回実施している。また1月には、大学の成績に関係なく、模擬試験の成績が向上しない一部の学生を集めて「寺子屋」と名付けた補講を実施している。例年、力及ばず学内採点で1、2名が合格水準スレスレとなり、公式発表まで合否がわからないといった状況である。大学側としては、国試合格率は受験人数や質に関わるので100%を目指すモチベーションとなるにもかかわらず、その対策は、いわば教員のボランティアで運営している。単位制大学では、単位と関係のない国試対策に割ける人的、時間的資源が限られているのが現状である。100%合格の鍵は個別指導だと感じており、AIを活用し、各受験生の得手不得手に応じてオーダメイド模擬試験を作成することができれば、本学では有用かもしれない。ただし100%という大義名分があるからといって、内容を理解させずに、点取りテクニックだけで国試合格させることは、教育者として、またいつか患者となる身として疑問であり、AIのサポートで空いた時間を理解させるための指導時間に当てることが重要だと思われる。

  • 苗村 潔, 秋本 和哉
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S23_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    東京工科大学臨床工学科では、これまでに6年間、国家試験を経験している。電気工学、電子工学、機械工学、情報処理工学は、基本をおさえれば得点源になりうる分野であるが、苦手としている学生への指導を毎年工夫している。本講演では、多くの学生が苦手としている内容と対応方法の実例を述べ、同じ知識でも、問い方が変わると、対応できない学生が、確実に理解できるようにするための方法に、人工知能が如何にして利用できるか考察したい。

  • 山本 創太, 葛西 健司, 保科 克行, 大島 まり
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S23_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    動脈瘤の拡張は継続的な診断によって評価され,手術適応の可否が判断されている.しかしながら動脈瘤の最大径による評価が一般的で,局所的な瘤拡張の評価や拡張予測は行われていない.このような予測診断を困難とする技術的な要因は,複数回にわたる検診において同一の物質点とトラックできるようなマーカーを置くことができないことである.そこで本研究では,特定の患者の継続的な検診によって得られた腹部大動脈瘤の医用画像から局所的な拡張速度を同定する方法,および次段階の動脈瘤形状を予測する手法の基礎的検討を行った.具体的には,医用画像から得られた動脈瘤形状モデルに対し,適当な仮想初期形状血管モデルを投影した.ここで投影は,等方線形弾性体で再現した仮想初期形状血管有限要素モデルに適当な内圧を作用し,弾性変形させることで行った.同じ仮想初期形状血管モデルを継時的に撮影された腹部大動脈瘤形状に投影することで,節点がマーカーとして用いて局所的な拡張速度の評価を行った.さらにある時点での拡張速度に基づき次段階の形状予測を行い,本手法の可能性を検討した.

  • 佐伯 壮一, 古川 大介, 山根 晃司
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S24_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    自家培養軟骨など3次元培養された再生組織の開発が進み,臨床適応が実現している.しかし,構築組織の粘弾性力学特性を非侵襲評価する手法が確立されていないことから,培養工程中の組織機能特性の定量的品質管理(Quality by Design)に改善の余地がある.本研究では,完全非接触・非侵襲に組織力学特性をマイクロ断層可視化する超音波援用ドップラーOCT(UA-OCDV)を提案し,そのマイクロ断層可視化評価能力について検討する.正常培養真皮とヒアルロニダーゼ酵素処理を施した培養真皮に対してUA-OCDVシステムを適応し,変位流動速度分布を検出した.その結果,音響放射圧と変位流動速度との位相差断層マップにおいて,正常培養真皮では位相差の空間勾配が顕著に現れるのに対し,酵素処理培養真皮では一定の位相差となることが分かった. 位相差勾配は組織力学特性に依存していると考えられ,これらの結果より,再生組織の透水性および粘弾性の非接触評価システムとしてUA-OCDVが有効な診断法であることが示唆された.

  • 福永 道彦, 門田 雄輔
    2019 年Annual57 巻Abstract 号 p. S24_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー

    動作解析には高価で大掛かりな設備が必要であるが,臨床使用を目的とした歩行動作の測定に対象を絞れば,より安価で扱いやすい機器を設計しうる.本研究では,3軸の加速度と角速度を測定する慣性センサを足に取り付けることで,歩行中の足の軌跡を測定するシステムを制作した.立脚中期に足の速度および加速度がゼロになることに着目して,角速度による足姿勢の測定を1ストライドごとにリセットし,オフセット誤差を補正することで,重力加速度を除いた加速度を2回積分して足軌跡を測定することができる.また,本方法によれば,センサの設置姿勢によらず重力加速度由来の固定座標系で結果を出力することができる.試みに,通常歩行のほか,異常な歩行として歩幅の小さい歩行,足を外側に振る分廻し歩行,およびつま先を引きずる跛行を対象に足軌跡を測定した.その結果,測定された足軌跡および足姿勢はそれぞれの歩行の特徴をよく示していた.ただし,特に水平面上においてドリフト誤差や重力の補正が不十分と考えられる箇所があった.角速度の積分による足姿勢の推定におけるオフセット誤差を補正する工夫によって,さらに精度よく推定が可能になると考えられる.

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