2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S19_1
医療機器の開発においては、その特性から市販前と市販後の一貫した対応を図り、トータル・プロダクト・ライフ・サイクルを適切に管理することで、医療機器のリスクとベネフィットのバランスを保ちつつ、開発を促進することが重要である。生理学的パラメータやそれを演算処理して得られた数値等の中には、診断の参考情報となり得ると考えられるものの、臨床症状や病態との関連づけが広く認知されるには至っていない場合がある。このような場合、治験によりその数値等の臨床的意義を示す必要がある。一方で、最終的な目標である臨床的な意義がまだ確立されていなくても、生理学的な状態や機能を測定、モニタリングする機器では、使用目的や効果の範囲を限定して承認申請を行うことができる場合がある。すなわち、このような医療機器においては、承認後に臨床現場での使用経験を踏まえながら、臨床的エビデンスが確立されたのちに、必要に応じて再度申請を行うこと(一部承認変更申請)などの二段階の開発戦略があり得る。そのため、PMDAとの開発前相談を通じ、審査側との意見交換を進めることが、開発コストの最小化と製品の実用化への最短ルートと考えられる。