生体医工学
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急性心筋梗塞における冠動脈内血球エコー強度に関する研究
田中 義範磯 雅佐藤 勇也山口 和也澤崎 史明石井 良直
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S201_2

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抄録

急性心筋梗塞では閉塞した冠動脈をいち早く開通させることが重要であり,ステント治療(PCI)の発展によって迅速な治療が可能となった.しかし,発症早期に治療できた症例でも大梗塞に至る場合があり,その原因はさらに細かな毛細血管の閉塞・破綻とされる.冠微小循環障害をPCI術中に検出できる方法は確立されておらず,実現が望まれる.これに対し,血管内超音波(IVUS)による冠動脈内血球エコー強度(IBS)の上昇が冠循環障害を反映するとの報告がある.これを急性心筋梗塞に応用すれば冠微小循環障害を検出できる可能性がある.本研究では,急性心筋梗塞例のIBSと梗塞量の関連について調べた.急性心筋梗塞患者26例におけるPCI施行後のIVUS画像を解析し,ステント留置部より末梢側のIBS(distal IBS)と血管入口部のIBS(proximal IBS)を計測した.distal IBS-proximal IBS=⊿IBSとすることで冠循環の障害度とした.⊿IBSと採血より得た梗塞量(Peak CK-MB)では,両者の間に正の相関を認めた(r=0.62,p<0.01).冠微小循環障害に伴う冠血流の鬱滞を反映して⊿IBSは上昇し,梗塞の進展につながったと考える.本法により,冠微小循環障害を検出できる可能性が確かめられた.

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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