生体医工学
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音響刺激と電気刺激に対する聴神経線維モデルのスパイク応答の統計的性質:電気刺激波形設計への展開
簑 弘幸
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S216_1

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抄録

本研究の目的は、聴神経線維モデルにおいて音響刺激と電気刺激によるスパイク列が、von Mises型の自己励起点過程(SEPP)で表現されると仮定し、音響刺激と電気刺激でのvon Misesパラメータをマッチングさせる意味で、ある最適な電気刺激波形を決定することが出来るかどうかを調査することである。音響刺激、及び電気刺激は、スパイク発火時刻の不規則性が再現された聴神経線維モデルに、反復的に投与され、スパイク発火時刻が観測された。音響刺激、及び電気刺激に対するスパイク発火時刻から尤度最大原理に基づいて、各々の刺激方法によるvon Misesパラメータが推定された。大規模な計算機シミュレーションによって、通常会話時の音響刺激の条件でのvon Misesパラメータに、電気刺激によるvon Misesパラメータが漸近する、電気刺激波形の条件を見出すことができた。これら二つのvon Mises型SEPPパラメータが整合するように電気刺激波形を決定することは、音響刺激と類似なスパイク応答の統計的性質をもたらし、よりよい人工内耳の設計に、ひいては人工内耳装着者の生活の質の向上に資するのではないかと示唆された。

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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