2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S230_2
ドライバーの疾患による事故を防ぐには、心電信号といった生体情報の取得が有用となる。そこで非拘束で心電信号を取得可能な容量結合型心電センサの開発を行っている。同方式のセンサにおける課題として、静電気帯電時に顕著に現れるノイズが挙げられる。そこで本研究では、静電気由来の上記ノイズの発生メカニズムを明らかにする。まずシート電極とステアリング電極との電位差(差動出力信号)、各電極とグラウンドシートとの電位差(各電極の出力信号)を検出する回路を作成し、被験者を帯電させた際の各信号を解析した。結果、各電極の出力信号から、グラウンドシートと人体間の結合容量の変動に伴うノイズ、各電極と人体間の結合容量の変動に伴うノイズが確認された。そして差動出力後もノイズが残存した要因として、前者ノイズがコモンモードノイズであり、不平衡により残存したこと、後者ノイズがノーマルモードノイズであり、大腿、及び手の帯電量、動きの違いにより残存したことが示唆された。また上記3つのノイズ要因をできるだけ排除可能な構成として、ステアリング上に2つの電極を配置し、左右の手から信号を検出した結果、ノイズが50%以上減衰した。