2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S237_1
日本でのパーキンソン病有病率は人口10万人あたり約120~130人で,高齢者に限定するとさらに高いことが知られている.高齢化社会が進む中,病気の早期発見や進行度を簡便に把握することが重要である.最近注目されている音声を用いた手法は非侵襲であり手軽に行えるという利点がある.本研究では,医師によって評価されたパーキンソン病患者の重症度を音声から判別し得る新たな指標を提案する.長母音的な定常音声ではなく読み上げ音声を使用しており自由発話での検知が期待できる.音声分析のため,東京医科大学病院においてパーキンソン病患者20名を対象に17種類の定型文読み上げによる音声を録音した.患者を修正版Hoehn&Yahrステージスコアから判定された重症度によりグループ分けし,音声から6552種類の音声特徴量を算出した.相関分析などにより特徴量を選定後,多項ロジスティック回帰分析により重症度判別指標を作成した.得られた指標を用いて患者毎に発話単位の判別を行い多数決によって重症度を判別した結果,90%の精度で患者を重症度別に分類することができた.これにより提案指標はパーキンソン病の重症度を判別する新たな評価指標となりうることが示唆された.