2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S241_2
現在,カフを用いる血圧計が広く普及しているが,カフの装着が必要なことや強い圧迫感があることから,就寝時における連続的な血圧モニタリングには不向きである.しかし,夜間高血圧症の診断及び治療のために就寝時の血圧モニタリングが必要とされている.この問題を解決するために,非接触かつ無意識下で血圧を測定する方法が求められている.近年,画像解析を用いて血圧を推定する試みが注目されているが,その多くは環境光下で撮影し,可視光波長を解析しているため,就寝中など薄暗い中では光量が少ないことから計測が困難である.そこで本研究では,就寝時において近赤外照明下で撮影した画像を用いて血圧を推定するシステムの開発を目的とする.具体的には,就寝の妨げにならない近赤外照明を用いて顔を撮影し,顔領域の輝度値変化から脈波変動情報を取得し,その脈波伝播時間から収縮期血圧を推定する.本報告では,血圧の変動成分を取得することを目的として動画像から取得した脈波伝播時間と家庭用血圧計から取得した収縮期血圧の関係性を検討した.その結果,提案する脈波情報取得法により血圧変動と脈波伝播時間変動に関係性があることが示された.