2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S248_2
癌の治療方針を決定するためにはリンパ節転移を正確に把握する必要があり、病理医による術中の迅速診断が行われるケースがある。しかしこの診断は病理医不在の施設では行えない。また、術中迅速を行っている施設では病理医の負担となっている。そこで近年、リンパ節転移診断への人工知能(AI)の利用が検討されているが、それらはHE画像の解析であり、迅速診断に適していない。本研究では、AIによるリンパ節転移の迅速検出法を開発した。【対象・方法】ヒトの胃癌転移リンパ節を対象とした。組織表面への透過性が低い深紫外光の性質を利用して、組織表面のみの蛍光画像を取得した。テルビウムイオンを用いて組織・細胞構造を短時間でコントラストよくイメージングできる新規の蛍光染色法を開発し、HE画像と類似する組織画像を迅速に取得した。また、得られた蛍光画像をAIにより解析し転移巣を検出し、その結果を同一リンパ節組織のHE画像のAI解析結果と比較した。【結果・討論】AIを用いた蛍光画像解析による転移巣の検出精度は、病理医やAIがHE画像を解析し転移巣検出を行った場合の精度と同程度であった。蛍光画像のAI解析による迅速リンパ節転移診断の実現が期待される。