生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
光学異方性結晶の検出における偏光利用の効果と利点
浜崎 亜富松田 瑞史武内 裕香
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S253_1

詳細
抄録

我々は現在、複数の物質の中に存在する磁気配向する物質をブラインドの状態で検出する方法を模索している。これまでに結晶の反射率が磁気配向で変化することを利用して目的の物質のみを同定することは可能となっているが、たとえば体内に存在する微量の結晶を高感度に検出するためには、検出器、もしくは光学系の更なる改良が必要になってくる。本研究ではその目的のため偏光を用いた場合について報告する。使用した物質は100 mT程度でも磁場応答を示す尿酸ナトリウム結晶を使用し実験を行った。磁場印加による結晶挙動の観察は直交ニコルに設定した偏光顕微鏡で、反射光強度の時間変化をマルチチャネル分光器で測定した。配向させた結晶上の磁力線の向きと偏光方向のなす角が0°の時、結晶の多くが磁気配向により消光し、なす角が45°の時に結晶が明瞭に観察された。磁場印加前ともっとも明瞭に結晶が観測されたときの光強度の差は、通常のシステムと比較して1.5倍程度に改善された。更に、偏光を用いない場合と比較して1/100倍程度の光強度まで結晶が磁場に応答する様子が観測された。磁気配向を示す光学異方性結晶において偏光の利用は検出感度の改善に有効であった。

著者関連情報
© 2019 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top