生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
熱流補償法を用いた深部体温計のウェアラブル化に関する基礎的検討
陸 晗子武藤 将平Aqilah Ardini binti Azmi野川 雅道根本 鉄戸川 達男田中 志信
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S260_2

詳細
抄録

医療分野では手術中など正確で連続的な体温管理が必要な場面で深部体温が測定されており,熱流補償法に基づいた装置が臨床的にも広く用いられている.一方,最近では独居高齢者の熱中症予防や暑熱作業者の健康管理などの観点から深部体温を無拘束計測する必要性が高まっている.そこで本研究では測定精度の高い熱流補償型深部体温計をウェアラブル化すべく試作装置を作製し、市販深部体温計との同時計測により性能比較実験を行っ.図1は健常成人1名を対象に安静仰臥位・腹部にて試作装置と市販深部体温計(CTM-205,テルモ)により深部体温を60分間同時計測した際のプローブ(ヒータ)消費電力の10分間平均値を示したもので,立ち上がり時を除き,市販装置に比べ試作装置の消費電力が1/6程度に低減されていることが判る.その理由として,試作装置においては加温用アルミシェル及びその周辺の皮膚表面が断熱材で覆われており,このために省電力化が図られたものと考えられる.なお市販ボタン電池(例えばRJD3048,3.7V,300mAh,φ20mm×4.8mm)を使用した場合,ヒータの連続駆動時間は約45時間と推定され,省電力化の観点からはウェアラブル化への見通しがある程度得られた.

著者関連情報
© 2019 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top