2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S264_2
毛細血管は物質交換の場であり、細胞への栄養供給や老廃物除去を担っている。こうした機能から毛細血管は健康状態のバイオマーカーとして有望視されている。マイクロスコープは簡易、非侵襲的に毛細血管を観察することが可能である。しかしながら、皮膚においては画像にメラニン色素や体毛など多くのノイズが混在し、毛細血管領域のみを抽出することが困難であった。そこで本検討では、マイクロスコープより取得した皮膚内部光画像から、独立成分分析法によってヘモグロビン成分画像を取得後、管状構造を抽出することにより毛細血管領域の抽出を行う方法を提案する。加えて皮膚に毛細血管拡張を誘導した際の血管面積変動から検証した。その結果、ヒトによるアノテーションとの同一画像のピクセル正解率は96%を示した。また、炭酸曝露により毛細血管領域が2.04倍に増加することが示され、皮膚生理学的な反応を定量的に取得できることが示された。これらのことから、本提案手法では毛細血管領域を精度良く定量可能であると考えられる。