生体医工学
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骨髄由来間葉系幹細胞の全身投与における傷害部位へのhomingおよびステロイド性骨壊死の予防
植田 修右市堰 徹相馬 大輔川原 範夫
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S271_1

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抄録

ステロイド性家兎骨壊死モデルにて骨髄由来間葉系幹細胞の全身投与による骨壊死発生の予防効果について検討した。緑色蛍光タンパク質(GFP)を遺伝子導入した骨髄由来間葉系幹細胞(GFP-MSC)を日本白色家兎の耳静脈より投与し、同日メチルプレドニゾロン(MP)20mg/kgの殿筋内投与を行った。実験1として薬剤投与後3日目(M3群)に犠牲死とし、大腿骨を摘出、免疫組織化学的検討およびウエスタンブロット(WB)にてGFP-MSCの動態を検討した。実験2として薬剤投与後14日目(M14群)に犠牲死とし、大腿骨を摘出、病理組織学的に骨壊死の有無を検討した。また対照群としてMP単独投与後3日目(C3群)と14日目(C14群)に犠牲死とし、同様の検討を行った。免疫組織学的検討では大腿骨の傷害部位へのGFPの発現を認め、WBでも同様に大腿骨での発現を確認できた。またHE染色ではC14群にて5羽中4羽(80%)に骨壊死を認め、M14群では典型的な骨壊死像は全例で認めず、有意な骨壊死の抑制効果を示した(p<0.05)。本研究により、MSCの傷害部位への集簇(homing)作用を確認することができた。また、簡便かつ侵襲の少ない静脈内投与を行うことで、ステロイド性骨壊死発生に対する有効な予防効果が示された。

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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