2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S273_2
電気回転は,細胞を回転電場へ曝すことで細胞が回転する現象である.その回転速度は細胞膜容量に依存する.細胞膜容量は,エキソサイトーシスやエンドサイトーシスといった細胞膜現象の把握に用いられる.本研究では,2枚のくし形電極を空間的に直交配置させた3次元グリッド電極を作製し複数の細胞を一括に電気回転した.本デバイスの最大の特徴は,4本のマイクロバンド電極に囲まれた回転電場の発生が可能なマイクログリッド空間の高密度な創出にある.図1(A)に電気回転時(100 kHz, 2 Vpp)の顕微鏡写真を示した.4本のバンド電極で構成された1つのグリッドに1つもしくは複数の細胞が捕捉され回転した.回転の方向は形成された回転電場と逆方向に回転した.イオノフォアの一種であるionomycinで処理した細胞としない細胞で回転速度を比較した結果,ionomycin処理の細胞で回転速度が減少した(図1(B)).イオノフォアの効果により細胞膜のイオン透過性が増加し,膜容量が減少したためと考えられる.本手法により細胞へ非接触に細胞膜の状態の評価が可能であることが示唆された.