2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S37_1
健康若年ボランティア21名が右手の指タッピング課題を行っている際の脳波 (electroencephalography:EEG)と近赤外分光法 (functional near-infrared spectroscopy:fNIRS)の同時計測を行い、EEGの各周波数帯のスペクトル信号に対応する血流信号をfNIRSから抽出する新しい解析手法の開発を試みた。EEGから頭頂-後頭葉のα波帯域 (8~13 [Hz])活動、ならびに前頭葉のβ波帯域 (14~20 [Hz])活動を抽出し、一般線形モデルによるfNIRSのデータ解析を行った。Oxy-Hb, deOxy-Hb信号の両者に対して、頭頂-後頭葉のα波帯域モデル、前頭葉のβ波帯域モデル共に、手の対側運動野付近に有意な活動が重なり合うように得られた (図1)ことから、指タッピング課題における運動開始・抑制に関わっていることが考えられ、異なる脳領野からの電気生理学的信号が運動野に指示を伝達していると示唆された。EEGとfNIRSの同時計測により、電気生理学的信号の各周波数帯活動に対応する代謝性活動を分離して推定することが可能となり、脳機能活動の正確な理解に貢献できると考えられる。