生体医工学
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光音響イメージングによる関節炎診断のための基礎的検討
小川 晃平浪田 健近藤 健悟山川 誠椎名 毅
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S57_1

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抄録

一般的に,関節炎では滑膜内に血管が新生され,それが炎症の程度を反映することが知られている.また,酸素飽和度が炎症と関連するという報告もある.検査や診断には,X線CT,MRI,超音波ドプラなどが用いられているが,放射線の被曝,造影剤の投与,早期診断あるいは定量評価が困難といった問題がある.これらの問題を解決するため,光音響(光超音波)イメージングを用いることを考えた.そこで本研究では,雄のWistarラット(12週令)の右後肢膝にコラゲナーゼ調整液を投与して疾患モデルラットを作製し,多波長計測により炎症の程度を評価できるか検証した.計測した結果の一例として,薬剤投与後1週間後,および薬剤投与後2週間後の疾患モデルラットの後肢関節部の超音波B-mode像に,波長800 nmにおける光音響像を重畳した画像を図に示す.また,関心領域における輝度の平均値および標準偏差を算出したものを合わせて示す.病態が進行するにつれ信号強度が増加していることがわかる.また,光音響スペクトルの形状が変化していることもわかる.これらの解析をとおし,関節炎の診断,評価における光音響イメージングの可能性を実証した.

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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