2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S67_1
人体に触れずに呼吸数と心拍数を計測する方法として,近年マイクロ波ドップラーレーダが注目されている.しかし,呼吸と心拍による微小な体表面の振動の他に不規則な体動によって,レーダの直交IQ信号にノイズが生じてしまい計測精度が悪化するという問題点がある.そこで,本研究ではレーダと測距ToF(Time-of-Flight)カメラを融合することによる不規則な体動除去法を提案する.IQ信号とは体動による相対的な変位を直交位相とする余弦波(I信号)と正弦波(Q信号)のことである.ToFカメラで不規則な体動を計測し,スケーリングを施し,これを位相とする余弦波と正弦波を生成した.加法定理を用いてこれらとIQ信号を組み合わせることで,IQ信号の位相内に含まれる不規則な体動成分の除去を行った.実部をI信号,虚部をQ信号とする複素復調を施し,周波数解析を行うことで呼吸数と心拍数を算出した.健康な成人男性5名を対象として,仰臥位,座位,立位の3つの姿勢で,体動を含んだ状態で呼吸数・心拍数の計測実験を行った.呼吸数の平均平方二乗誤差率は,体動除去処理を行うことで仰臥位において19.4%,座位において13.3%減少した.