生体医工学
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医看工連携が必要とされる透析医療
塚尾 浩
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S6_1

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抄録

本邦の慢性透析療法の現況については、日本透析医学会が詳細な統計調査を毎年実施している。それによると、本邦では2017年末現在で334505人の慢性透析患者が透析療法を受けている。透析療法が東日本大震災などでも大きな問題として語られたのは、週3回4時間実施される透析療法が何らかの原因で継続できなくなったとき、それは生命が文字通り危機に陥るからに他ならない。しかし、突発的な大災害ばかりが危機の原因ではない。例えば、少子高齢化は社会の成り立ちを変容させる大きな要因となりうるが透析療法を取り巻く医療環境も多大な影響を受けている。透析患者の平均年齢は68.43歳で、上昇傾向にある。特に65歳以上の患者数の増大が平均年齢の上昇に寄与している。また、医療費の増大が国家財政の圧迫原因になっていることは周知の事実である。本邦が豊かな医療先進国であることには間違いはないであろう。しかし、人口分布の変容や財政の衰退は、透析療法の持続可能性を阻む要因となる。これに対するためには、“医”のみならず“看”や“工”の総力戦で挑まなければならない。そのために各分野でご活躍の諸氏にそれぞれの立場から提言を頂き方策を導く一助としたい。

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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