2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S78_1
生体組織から細胞成分を除去した脱細胞化生体組織を酵素で可溶化し、生理的条件下に調整することでヒドロゲル(ECMゲル)が得られる。ECMゲルは、生体組織の生理活性物質を有しており、組織から抽出精製された単成分ゲルとは異なる特性を発現するため注目されている。本研究では、ブタの膀胱組織(UBM)、小腸粘膜下組織(SIS)を高静水圧法(HHP法)にて脱細胞化し、得られたECMゲルの特性および毛細血管網構築に関して検討した。各ECMゲルのゲル化挙動を比濁度測定にて検討した結果、コントロールのコラーゲンよりも早期のゲル形成が示された。圧縮試験より、500~1500Paの弾性率の様々なECMゲルが調製できることがわかった。各ECMゲル上に血管内皮細胞を播種・培養し、毛細血管網構築を検討した。毛細血管様のネットワーク形成が観察され、ネットワーク長および擬血管径を画像解析にて計測した。ECMゲルは、コラーゲンゲルに比べてネットワーク長は5~7倍の増加し、擬血管径も2~3倍の増加し、低弾性率のECMゲルにて太く長い擬毛細血管ネットワークが形成されることが明らかとなった。脱細胞化ECMゲルの物性制御により擬毛細血管網の形成を制御できることが示唆された。