2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S79_1
iPS細胞等の幹細胞の分化誘導の過程において,未分化細胞やがん細胞等の特異細胞を検出するために従来の研究では,電気インピーダンス・トモグラフィ法(EIT)法によりセンサー内のイースト細胞懸濁液をインピーダンス測定し,導電率分布を可視化することで細胞分布の取得を行ってきた.しかし,それでは細胞の生死状態までは識別できない.そこで我々はイースト細胞の生細胞と死細胞を可視化,識別できる新しい手法を提案し,従来の手法との比較を行った.イースト細胞の死細胞率Φdの細胞懸濁液を作製し,インピーダンス測定を行った.さらに,各死細胞率ΦdとΦd=0の虚部インピーダンスの比Ψdを定義しボード線図に示すと,死細胞率Φdの増大と共にΨdも増大していき,f=3kHzにおいてピーク周波数fpが存在することが分かった.この結果を利用しセンサー内の死細胞率分布Φd,EITを画像再構成すると,Φd,EITによって死細胞率Φdの識別が定性的に確認できた.従来の手法と比較すると,従来の手法ではΦdの識別が難しく,特にΦd=0~0.5の範囲での識別はほぼ不可能だが,新しい手法ではすべての範囲でΦdの識別が可能であることが定性的に確認できた.