2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S99_2
スポーツ等において,必要以上の筋緊張はしなやかな四肢の動作を阻害し,パフォーマンスを低下させると言われている.力の抜き方として武道やヨガなどにおいて呼吸と運動の関連性が報告されている.しかし,四肢の骨格筋における報告は少ない.そこで本研究では,呼吸と筋の力学的特性を明らかにすることを目指す.本研究では筋長変化を伴わない等尺性収縮時において,呼気を止めている場合と吐いている時による筋弾性様特性の違いを明らかにすることを目的とする.被験者は健常男子(22~23歳)3名である.実験は息を吐き出し続けている場合と息を止めている2つの条件において,肘関節角度を一定に維持した状態において,負荷トルクを加えたときの微小な関節角度変化を計測した.そして,負荷トルクと関節角度の変化から弾性様係数を算出した.負荷トルクを最大随意収縮時の発揮トルクの10%とした.本実験を角度毎に20セット行った.本実験で得られた結果の一例を図に示す.被験者3名のうち2名において各肘関節角度において呼気を吐いている時の弾性様係数が止めている時と比べて小さくなっていることが示された.