2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 113
【背景】体内埋め込み材料として用いられているチタンは、骨との親和性が高い事から癒着を引き起こしデバイスの抜去に難渋するという問題がある。そこで優れた生体適合性と硬度を有するDiamond Like Carbon(以降DLC)をチタンにコーティングすることで骨との癒着を防止する材料になり得ると考えた。本研究は、DLCコーティングが骨形成抑制へ与える影響をin vitro試験により評価することを目的とした。【方法】純チタン2種プレートにイオン化蒸着法によりDLCコーティングを施した。比較対照には純チタン2種を用いた。細胞にはマウス頭蓋冠由来骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)を用いた。培養液は α-MEM [10 % ウシ胎児血清、1 % 抗生物質添加]を用い、37℃、5 % CO 2インキュベータ内で培養した。骨形成抑制評価は、DLCおよびチタンプレートにそれぞれ培養面積0.3 cm2となるシリコン製チャンバーを取り付け、6 × 104 cells/mlの細胞懸濁液を0.2 ml/wellで播種し、4日間培養を行った。培養後、血球計算版を用いて細胞数を数え、ラボアッセイTMALPを用いることで単位細胞数当たりのALP活性を算出した。【結果・考察】DLCコーティングチタンのALP活性はチタンに比べて有意に低い値を示した。これより、DLCコーティングチタンは骨形成を抑制する可能性が示唆された。